2014年12月20日
年末も押し迫ってきました。この時期は年賀状の準備に併せて、所有電卓のすす払いを行っています。
恒例の電卓すす払い日常使い以外の電卓は、動態保存を目指しています。乾燥剤入りの箱から出してきて、清掃、動作確認、必要に応じて電池交換を行います。
これらは、実際に新品として購入して、一度は日常使いをしたものばかりです。右下に写っている fx-995ES だけが例外で、カシオのスタンダード関数電卓の第三世代の最終型としての記念に購入したものです。2015年2月には 高精細液晶を搭載した fx-JP900 が発売予定で、これは第四世代のスタンダード関数電卓と言えます。
・第一世代: 最初の関数電卓
・第二世代: 数式通り入力タイプ
・第三世代: 数学自然表示タイプ
・第四世代: 高精細液晶タイプ
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Casio fx-JP900過去の名機レビュープログラム電卓は、今も昔も高価な製品なので、調べて納得してから購入すると言うのが通常です。2回だけ衝動買いをし、結果的に、最初は大ハズレ(fx-4500P)、2回目は大当たり(
fx-5800P)でした。
今回は、ちょっと懐かしさもあって、記事にしてみようと思います。
FX-502P
これは、FX-502P 、一世を風靡した手帳サイズの
プログラム関数電卓です。保証書には 1979年4月とあります。35年経った今でもきちんと動作します。生まれて初めて個人で所有した電卓が、いきなりこの機種でした。親に買って貰ったもので、当時は搭載されている関数全部が理解できませんでした(/_;)
昨年まであったプログラムライブラリがなぜだか見つからず、年末の大掃除での捜索対象です。人生で初めて作ったプログラム(反射ゲーム)はこの電卓で作ったものです。
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FX-502P / 602P / 603P のプログラムアセンブラのような言語で、最初は分かりにくいものでしたが、最近の Casio Basic には無い、間接ジャンプ、間接参照ジャンプといったまさにアセンブラのような命令があって、限られたプログラム領域やメモリで効率良く動作させる仕様です。まさに神のようなプログラムが多く発表されたものです。
FX-602P
FX-502P ではプログラムが保存しきれなくなったのでFX-602P を入手し、日常使いしていました。1984年6月19日の日付の保証書も残っていて、30年経った今でもきちんと動作します。プログラム言語は FX-502P とほぼ互換です。今でも
FX-602P Page と言うサイトが残っていて、当時の "神プログラム" に熱狂した雰囲気を味わうことができます。
FX-502P や FX-602P は30年以上経てもなお健在、その品質の高さには驚きます。
FX-603P
FX-502P の系統の互換機種の最終バージョンである FX-603Pで、これもきちんと動作します。これは21世紀に入ってもまだ販売されていた超ロングセラーの製品です。私自身、2007年まで使っていたので、そんなに古いと言う感覚がないのですが、残っている保証書には 1992年4月 とあるので、22年も前に購入したことになります。液晶がドットマトリックスになり、2行表示となり、さらにアルファベットの表示ができるようになったのでプログラムの幅が広がりました。当時は2行表示でも凄い便利だと思ったものです。
カシオの
プログラム関数電卓第一世代の最終形と言うべき記念のモデルです。
実は、その後カシオの
プログラム関数電卓搭載のプログラミング言語は、迷走の時代を迎えます。
fx-4500P
迷走の時代の代表選手 fx-4500P です。fx-4500PA は多く売られたのですが、末尾が PA でなくて P のモノはそれほど多く市場に出回らなかったようで、ある意味希少価値があるようです。海外のコレクタが 比較的高値で購入したがっているようです。fx-4500PA はボタン電池を3個使うのですが、fx-4500P はボタン電池2個使いなので、省電力で経済的なのかも知れません。
残っている保証書には、1990年2月27日とあるので、24年選手です。
私の fx-4500P は残念なことに 電池を入れ替えても LOW BATTERY と表示され、液晶が濃く表示できない状態です。計算はできるので、かろうじて動態保存しています。普通に考えれば24年で故障するのは不思議でもなんでも無いのですが、他が凄すぎです。
このモデルの特長として、1つのキーに割り当てられる機能が多すぎで、操作性が悪い点がありました。それだけなら慣れれば済むのですが、プログラミング言語が、中途半端でとても使いにくいのは致命的でした。
右下に [EXE] キーがあるのが、この機種の特長の1つです。当時のカシオは FX-603P 系統の [=] を持つシリーズと、[EXE] を持つシリーズの2つが存在しており、言語仕様が互いに大きく異なっていました。
結果的には、[EXE] キーの系統が、現在の
プログラム関数電卓やグラフ関数電卓に繋がっているわけですが、FX-603P でできたことが、どうやっもできないと言うことが多く、せっかく期待して購入したのですが、結局 FX-603P の購入に至ります。
従って、、それほど使っていないのですが、所有品の中でこれだけが電源回りに故障が発生していることから、品質面も試行錯誤していたのかも知れません。私が購入した電卓の中で、唯一のハズレ品でした。
fx-911s / fx-991S / fx-991W / fx-991MS / fx-991ES / fx-993ES仕事の環境が大きく変わったため、技術計算やプログラムを利用することが激減し、スタンダード関数電卓を愛用していた時期があります。上の写真には写っていない、fx-911s が初めて買った スタンダード関数電卓でした。FX-603P と同様の手帳タイプで、満員電車の押しくらまんじゅうで壊れてしまい、fx-991S を購入。これも同じく手帳タイプで同様に満員電車で壊れました。
次に買ったのが、写真に写っている fx-991W で、ハードケースに変わったおかげで、満員電車で生き残ることができました。fx-991W を最も長く愛用しました。その後、fx-991MS 以降でガッカリしたのは、3桁区切りの記号が表示されなくなったことです。さらに fx-991ES以降では、3桁区切り記号が無いだけでなく、視認性の劣る青液晶になってしまいました。安い青液晶に切り替えたのは、バブル崩壊とデフレ突入による不景気の象徴だと思っています。
幸いなことに2015年2月発売予定の fx-JP900 は、黒液晶に戻り、3桁区切りが復活します。さらに高精細液晶の搭載です。カシオの本気度がうかがえます。
fx-5800P
fx-5800P を店頭で見て、その場で衝動購入したのですが、購入当時はスタンダード関数電卓の高級機と言う感覚で使っていました。プログラムは作らず、使いもしませんでした。
ふと、プログラムを作ってみようと思って触ると、FX-603P とは別世界、スラスラとプログラムが書けて、Casio Basic の使いやすさに驚きました。そして、触っているうちに Casio Basic の能力の高さに惚れ込みました。但し、
fx-5800P の取扱説明書は、FX-603P の時代と異なって、プログラミングについては、ほとんどヤッツケ仕事としか思えないお粗末な記述しかありません。カシオは、分かる人だけ使えば良いと本気で思っているのでしょうか? 優れた Casio Basic なのにもったいない話です。
近年の Casio Basic は構造化プログラミング言語なので、実用的で使いやすいプログラムをかけます。その魅力にハマッて色々と調べた結果をまとめておきたい、知らない人に知って欲しいと言う趣旨で e-Gadget を始め、究極のワンテーマブログが続いています。
fx-9860GII今年は年末になって、
fx-9860GII を入手しました。
fx-5800P よりも処理能力は圧倒的に高いのですが、使い勝手の面でみると
fx-5800P の方が圧倒的に良いと感じています。従って、今でも日常使いは fx-5800P のままです。チョットした憧れのあった
fx-9860GII ですが、どちらか1つを選べ、と今言われると fx-5800P を選ぶと思います。今のところ...
ところで、 fx-5800P 用の Casio Basic のプログラムをいくつか
fx-9860GII に移植してみています。
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fx-5800P プログラムライブラリ - キーコード取得 ⇒
fx-9860GII への移植 - ピタゴラス数 ⇒
fx-9860GII への移植 - 素因数分解ここで、分かったことは、ほんのチョットしたことだけ気をつければ移植性が極めて高いと言うことです。処理能力の低い fx-5800P でまともに動くように作れば、fx-9860GII では問題なく動作します。搭載されている Casio Basic は、fx-5800P よりも fx-9860GII がバージョンが上のようで、fx-5800P に無いコマンドが多くあるので、fx-5800P でどうしてもできないことが、fx-9860GII で実現します。理屈の上では...です。
実際に、fx-9860GII の特長を活かし、fx-9860GII で是非とも使いたいプログラムが、いつか出来ると思います。fx-5800P になく、fx-9860GII にある面白い点の1つに、C言語で書いたプログラムを走らせられることがあり、ホビー機としては楽しませてくれそうです。Windowsプログラミングが染みこんでしまった体には、以前の MS-DOS で C のプログラムを作っていた頃を思い出させてくれて、懐かしい感じがします。
Basic は時代遅れなのか?ネットを見ていますと、Basic 言語は教育用の初心者向きで、実用向きではないと言う言説を未だに見聞きしますが、PC用のプログラムでも Visual Basic で書かれたものが立派に業務用として使われています。C言語系(敢えて、C++、C# や Javaなどを含めますが...)が優れていると一言でいえるものでは無いと思うのです。適材適所で 複数の言語を使い分けるのが最良でしょう。プログラミングは宗教ではなく、実用ツールなのですから...
Basicでプログラムを書くのは確かに楽です。電卓プログラミングで言えば、FX-603P 系のアセンプラのような言語に比べると、Casio Basic は圧倒的に実用的です。プログラムの種類や目的によっては、Casio Basic ではできないことがあり、その時は Casio Basic 以外を使いたいと思います。その意味でfx-9860GII により、プログラム電卓活用の幅が広がるのではないかと、楽しみです。
そして、
Casio Basic の勧め、
Casio Basic入門 に繋がります。
長々とここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
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