2018/02/12
追記修正 2019/08/13
fx-5800P の Casio Basic をPCでコーディング - CcEditor[2019/05/06] CcEditor が Ver 2.2 にアップデート
⇒
ダウンロードはこちら
fx-5800P の Casio Basic プログラムがPCとデータリンク可能になったことを既に紹介している。
ついに fx-5800P がPCリンク可能になった一旦PCにバックアップされたプログラムをPC上で編集するためのエディタ -
CcEditor が、同じく takumako様により公開されている。
CcEditor は、CcLinker でバックアップしたプログラムの編集だけでなく、最初からプログラムを書ける。さらに fx-5800P で公開されていない隠し機能を使って、Casio Basic を拡張して使うこともできる。
そこで、実際に
CcEditor を 現時点で最新バージョンの Windows 10 で使ってみたので、紹介する。
目 次
◆ CcEditor のダウンロードと起動 ◆ CcEditor の基本コンセプト ◆ CcEditor の操作と拡張機能 ▶ CCLファイルのインポート&プログラム変更 ⇒ fx-5800P へ転送 ▶ CcEditor だけでプログラム作成 ⇒ fx-5800P へ転送
CcEditor のダウンロードと起動
CcEditor 最新版は
ダウンロードページ からダウンロードできる。
ダウンロードし最初に実行すると、Windows の保護機能が発動する。
詳細情報 をクリックすると [実行] ボタンが現れるので、これをクリックして 実行。次回からは保護機能の警告は出ない。
[2018/08/07 追記]※ CcEditor Ver 1.6e 以降は、この問題を回避するために フリーの圧縮解凍アプリ CGA にで圧縮されたファイル(拡張子がCGA)での提供に変更されている (詳しくは
コチラを参照)。
CcEditor の基本コンセプトCcEditor の基本コンセプトを理解するとスムーズに使える。先ず File メニューを示す。
Project (プロジェクト)、
Build (ビルド)、
Import (インポート) という項目があることに着目して欲しい。
fx-5800P から
CcLinker でPCにバックアップすると拡張子が ccl の
CCL ファイルフォーマットになる。
また
CcEditor が扱う専用ファイルフォーマットには、
CCLファイル に加えて拡張子が cce の
CCEファイルがあり、
CcEditor で編集した内容を保存するために用いる。
CcEditor の編集画面は、fx-5800P のプログラム編集画面よりもコードが見やすくなっており、そのための特殊文字や制御文字を加えて内容を保存するための専用フォーマットにしているのが
CCEファイルだ。
さて、
CcEditor は単なるエディタではなく、簡易的なプログラム開発環境になっていると理解すると良い。つまり CCEフォーマットで扱うファイルは
Project (開発プロジェクト) ファイルという扱いになっていて、fx-5800P に転送できるフォーマットになっていない。
そして編集が終われば、一旦
Build (ビルド)という操作を行って、fx-5800P に転送するための最終的な
CCLフォーマットに変換する。この概念は、コンパイラ型言語 (C++ や C# など)と同様で、プログラムコードはプロジェクトファイルとして編集・保存し、これをコンパイル&ビルドすることで、実際に使える実行ファイルや中間コードファイルに変換する、という考え方に基づいている。
なお、
File メニューに
Import (インポート) 項目があり、これは CCL ファイルを取り込む操作だ。
以上をまとめると、
CcLinker でバックパップした
CCL ファイルを
Import (インポート)で読み込んで編集できる。それをファイルとして保存するには、
CCE ファイル ( = Projectファイル) として保存する。
CCEファイルを
Build (ビルド)すれば fx-5800P に転送可能な
CCLファイルに変換して保存する。
CcEditor で最初からコーディングすることもできる。その場合も
CCE ファイル (= Projectファイル) として編集・保存する。或いは
Build (ビルド)することで fx-5800P に転送可能な
CCLファイルとして保存する。いずれにせよ
CcLinker で fx-5800P に転送する前に、
CcEditor で
Build して
CCLファイルに変換しておく必要がある。
以上の概念を理解すると、
CcEditor をスムーズに使えると思う。
CcEditor の操作と拡張機能代表的な使い方を試したので、それを紹介する。拡張機能は随時追加されているので、ここでは全て触れていない。
[2019/05/08 追記] デバッグモード
デバッグモードが秀逸だ。fx-5800Pを
CcLinker で接続した上で
CcEditor の画面でデバッグができる機能だ。指定変数値のウォッチ、ブレークポイントの設定が可能で、PCの広い画面でデバッグができるため、プログラム全体の見通しが良くなり、とても効率が良い。⇒
デバッグモードの説明詳細は
takumako様のCcEditorのページで確認して欲しい。
▍CCLファイルのインポート&プログラム変更 ⇒ fx-5800P へ転送初めて使うことを想定して、少し細かく説明する。
題材として、以前紹介している
ピタゴラス数を計算して表示するプログラム (PYTHAGORAS) を変更して fx-5800P へ転送してみる。
⇒
PYTHAGORAS の CCL ファイル (PYTHAGORAS COMP 0142.ccl) のダウンロード事前にダウンロードしたファイルを 全て大文字のファイル名 PYTHAGORAS として fx-5800P に転送して欲しい。その上で、以下の説明を見ながら、実際に操作して進めると分かり易いと思う。。
さて、
CcLinker で fx-5800P から (再度) PCに転送し、ファイル名を小文字混じりの
Pythagras.ccl として転送 (バックアップ) する。操作方法は "
ついに fx-5800P がPCリンク可能になった" 参照。
CcEditor を起動し、
PYTHAGORAS.ccl を
Import で読み込む。
ファイル選択ダイアログで、
PYTHAGORAS COMP 0142.ccl を選んで、[開く] をクリックする。
PYTHAGORAS COMP 0142.ccl が読み込まれ、ソースが表示される。
このプログラムは、終了させるには
[AC] キーを押す。そこで、
[AC]たけでなく
[EXIT]キーでも終了できるように変更してみる。
ここでは、例えば下から9行目の Doの下に
Getkey=73⇒0→Lを追加、
Lbl 0 の上に
1→L を追加し、最後の行を
L⇒Goto 0
Clsに変更してみる。これで、ピタゴラス数が連続表示されている時に [EXIT] キーを長押しすると、画面クリアしてからプログラムが終了するようになる。
プログラムコマンドは、
[Program]ボタンを押して現れるコマンドリストから入力する。
"→", "="、"⇒"、"Getkey" はコマンドリストから入力、数字はキーボードから直接入力できる。
変更が終わったので、一旦 CCE ファイルとしてプロジェクトを保存する。
[File] - [Project] - [Save] とすると、
ファイル選択ダイアログが表示されるが、ファイル名の欄は左詰めになっていないので、左端までスクロールしてファイル名を確認する。
[2018/02/21 追記] Ver 1.3 で左詰め表示がされるようになった。ここでは、試しに 頭の P 以外を小文字にしたファイル名 (
Pythagoras.ccl) にしてみる。
[開く] をクリックすると、プロジェクト
Pythagoras.cce が保存される。指定フォルダに保存されていることを確認する。

さて、プログラム文法をチェックするために、
[File] - [Check] を選択。
Checkされると、コマンドに色が付く。もしエラーがあればエラーメッセージがポップアップする。
fx-5800P に転送可能な CCL ファイルに変換するために、
[File] - [Build] を選択すると、
Check を選んだ時と同じ文法チェックが自動的に行われ、エラーがなければ、確認ダイアログが現れる。
[はい] をクリック
ファイル選択ダイアログで [開く] をクリックして、
Pythagoras COMP.ccl を保存する。ここでオリジナルの
Pythagoras.ccl とは異なるファイル名にしておくことを勧める。
Pythagoras COMP.ccl が保存されていることを確認。
最後にこれを
CcLinker で fx-5800P に転送する。そこで先ず、fx-5800P と
CcLinkerドングルを繋ぎ、ドングルをPCに刺し、
CcLinker を起動する。
或いは
CcEditor Ver 2.0 以降では Add-In 機能から
CcLinker を直接呼び出せる。
fx-5800P で
[MODE] - [▼] - [1](1:LINK) - [2](2:Receive) を押すと、
CcLinkerアプリは自動的に
Transmit モードになり、ファイル選択ダイアログが表示される。ここで
Pythagoras COMP.ccl を選ぶ。
[開く] をクリック (或いは ファイルをダブルクリック) すると転送が始まる。
転送が正常に終わると fx-5800P と
CcLinnker の両方で
Complete! と表示される。
fx-5800P で動作確認してOKなら、プログラム変更は成功だ。
▶ CcEditor の拡張機能 (1) - 小文字ファイル名が使えるfx-5800P のプログラム名は大文字アルファベットと数字に限定されるが、上の例のようにファイル名に小文字を使ってfx-5800Pに転送すると、大文字だけのファイルと共存できることが分かる。
▍CcEditor だけでプログラム作成 ⇒ fx-5800P へ転送
CcEditor で最初からプログラムを作る例を紹介する。
CcEditor を起動する。
Project 名が
Default、その右で動作モードが
COMP になっている。
ここでは、
Project 名に
test と入力、動作モードは
COMP のままにする。そしてプログラムコードを入力する。
プログラムコードは下記のようにした。
赤文字部分は純正Casio Basicでは入力できない表記だ (ところが実行するとエラーにならない、以下参照)。
"CcEditor Test"
1→a①
2→αⓑ
Locate 1,2,a①+αⓑ▶ CcEditor の拡張機能 (2) - 表示に小文字アルファベットやギリシャ文字が使える純正Casio Basic では入力できない小文字アルファベットやギリシャ文字、添え字を文字列の1部として出力できる。
▶ CcEditor の拡張機能 (3) - 小文字アルファベット、ギリシャ文字が変数として使える- 純正では使えない小文字アルファベットが変数として使える。
- 純正で使えないギリシャ文字が変数として使える。
① と
ⓑ はエディタでの表示は〇に囲まれているが、1文字変数の添え字となる。
プログラムを fx-5800P に転送すると、電卓上では、添え字付き変数
a1、αb と表示される。それぞれ1文字変数の添え字になっていて、変数として正常に使える。添え字が異なると別の変数として使えるので、使える変数が大幅に増える。
小文字アルファベットの入力は、キーボードから直接入力できる。
ギリシャ文字や〇で囲まれる添え字は、
[Function] ボタンを押して現れる
Functionメニューで
[ALPHA] を選び、プルダウンメニューから選んで入力する。
▶ CcEditor の拡張機能 (4) - 1文字変数に添え字を付加して別変数として使える- [Function] ボタン - [ALPHA] ⇒ プルダウンメニューから入力
- 〇に囲まれた文字は添え字入力に使う
入力が終われば、一旦
test プロジェクトとして保存 (
test.cce 保存)。そして
Build して CCL ファイル (
test.ccl) に変換する。
最後に
CcLinker で fx-5800P に転送する。
転送後、
Prog List では小文字のプログラムファイル名
test が見つかる。コードを表示させると以下のようになる。
"CcEditor Test"
1→a1
2→αb
Locate 1,2,a1+αb
これを実行すると、出力は以下になり、小文字アルファベットやギリシャ文字が添え字付きで変数として正常に使えていることが分かる。
CcEditor Test
3
なお、これらの 小文字出力や 小文字変数、ギリシャ文字変数、添え字付き変数は、fx-5800P の Casio Basic に既に備わっている隠し機能であり、
CcEditor によってこれら隠し機能が使えるようになる。
今後、必要に応じて随時追記・修正してゆく。
応援クリックをお願いします。励みになるので...