Casio 関数電卓の素因数分解

  追記 2020/01/24

本ブログでは、素因数分解プログラムについて取り上げています。

 ・ fx-5800P で素因数分解
 ・ fx-5800P で素因数分解再び
 ・ fx-5800P 素因数分解 - バグ修正と表示変更
 ・ fx-9860GII への移植 - 素因数分解
 ・ VBAで素因数分解
 ・ fx-5800P 素因数分解 - 高速化 [2020/01/07 追記]

これらの記事の発端は、カシオのスタンダード関数電卓 fx-995ES に因数分解機能が搭載されたことです。素因数分解機能が内蔵されたのなら、プログラム電卓で作ってみようと思ったわけです。但し、自作プログラムは、逆立ちしたって内蔵機能よりも速く計算できません。これは、チョット気になっていました。

そこで、今回は、素因数分解のアルゴリズムの話題です。

実は、すけっぴぃ様から、素因数分解アルゴリズムの効率化に関するコメント(ここ)を頂いており、すぐには役に立つ情報を返信できなかったのですが、心の隅に引っかかっていたこともあって、この話題を少し掘り下げてみます。


 
私の手持ちの電卓で素因数分解ができるのは、最初から機能が内蔵されている fx-995ESfx-JP900、それに作ったプログラムが走る fx-5800P と fx-9860GII の4機種。
Int_fx-995ES Int_fx-JP900 Int_fx-5800P Int_fx-9860GII 
順に、fx-995ESfx-JP900、fx-5800P、fx-9860GII

最近、fx-JP900 を入手し、素因数分解機能を試したところ、fx-995ES よりも大幅に計算が速くなっていて、さらに得られる素因数の桁数が増えています。

幾つかの素因数分解結果を、fx-995ES、fx-JP900、fx-5800P のプログラム、カシオの高精度計算サイトKe!san で行った結果の一覧表を再掲載します。← Casio fx-JP900 (その3) から抜粋

整数fx-955ESfx-JP900fx-5800PKeisan
1,234,567127x(9721)127x9,721127x9721127x9721
98,765,43223x37x(333667)
(1.7秒)
23x37x333,667
(0.4秒)
23x37x333667
(27秒)
23x37x333667
9,516,208,47332x172x(3,658,673)32x172x(3,658,673)32x172x365867332x172x3658673
123,456,78932x(13717421)32x(13,717,421)32x3607x380332x3607x3803

因数分解できない場合は ( ) 付きで表示される仕様で、そこは fx-955ES も fx-JP900 も同じ。
但し、fx-995ES は素因数が4桁以上で ( ) 付きになっていましたが、fx-JP900 では素因数の桁数制限が大幅に緩和され、上の例ですと6桁まではOK。

また、fx-JP900 の取扱説明書17ページを見ると、素因数が 1,018,081 以上の素因数を持つ時は計算エラーになると書かれていますが、上の1つめ、2つめ、3つめの例では、( ) 付きで結果が表示されています。これ以上計算できないが、たまたまそれが素因数だったと解釈すれば良さそうです。( ) 付きの場合は、それが正しいかどうかの保証が無いと言うことでしょう。

4つめの例では、( ) 付きの結果は、さらに因数分解できるが、これ以上計算できないことを示しています。

[2015/06/18 追記]
コメント欄での sentaro様とのやりとりから、求める素因数の桁数を制限すること、そしてCPUの演算速度の簡単な比較から、2と3以上の奇数で順次割り算する単純なロジックても、それぞれの実行時間をほぼ説明できそうだ、と今のところの結論です。(追記終わり)

[2020/01/24 追記]
上記のすけっぴぃさんのご提案にあるように、一旦3で割ればその後は3の倍数でない奇数で割り算すると効率があがります。これを拡張して、割る数として 奇数、かつ 3でない、かつ 5でない、 かつ 7でない整数を順次求めて行くアルゴリズムで3~4倍の高速化ができました。⇒ fx-5800P 素因数分解 - 高速化



素数は整数論の一分野で研究されていて、素数が無限個存在することは、紀元前300年頃に証明されています。しかし、未だに素数を求める公式が見つかっていないし、素数の密度を求める式も見つかっていません。ケースバーケースの近似的な式があるだけです。それだけ神秘的な数が素数と言えるのですが、だからこそ素数は暗号通信の要として、実用上極めて重要なものになっています。応用工学で重要な素数だからこそ、数学教育において素数は重要だと考え、カシオは素因数分解機能を内蔵したのかも知れません。

ところで、遅いCPUを搭載した fx-5800P で走らせた素因数分解プログラムは、処理が遅いので、あまり凝ったアルゴリズムを実装できません。それに比べて内蔵機能の計算が桁違いに速いことが、気になっていました。

そんなとき、fx-JP900 の評価をしていて、正しく計算する条件として求める素数の桁数に制限があることを改めて考えてみました。桁数の制限をかけるアルゴリズムがあって、それを使えば Casio Basic でも速いアルゴリズムを実装できるかもしれないと思いました。そこで、具体的なプログラムにするには、まだ不完全ですが、取りあえず書いてみます。


fx-995ES では3桁以内の素因数に分解して表示することができるのですが、正しい計算が保証できるときの素因数が3桁と言うのは、どういうことか? 例えば、何十個かの素数の表をメモリ内に持っていて、それを使って計算すれば、かなり計算量が節約できるかも知れません。3桁つまり1~999の範囲にある素数は168個で、最大の素数は 997 です。168個程度のデータならメモリに入れておくのは現実的です。与えられた自然数をこの168個の素数で次々と割り算してゆけば、2と奇数で順次割り算するよりも、遙かに計算量が少なそうです。

ある整数の素因数分解を行う時、素因数はその整数の平方根以下になることを使い、さらに2と奇数を順に割り算して素因数を求める計算を、fx-5800P や fx-9860GII 用に書いたプログラムで行っています。このとき、3桁の素数で最大は 997 なので、9972 = 994009 以下の素因数分解は、メモリに保存された168個の素数で順割り算すれば、かなり計算量は節約できます。fx-5800P や fx-9860GIi で作ったプログラムでは、2と奇数で割り算するので、499個の数で割り算しています。つまり、計算量は 168÷499 = 0.3367 つまり 約33%、1/3 にに抑えられます。
Casio Basic での変数参照や配列参照のアクセスに比べて、関数計算する際のテーブル参照は遙かに速いと考えられるので、これで内蔵機能が速いことが説明できそうです。この方法を Casio Basic のプログラムに反映する際は、算術演算に 1~1.5ms 程度かかり、配列変数や行列へのアクセスに20ms程度かかること、そしてこの差を考慮して、本当に速くなるのかどうかを検討する必要があります。


一方 fx-JP900 は、1,018,081 以上の素因数を持っている整数ではエラーになる仕様です。ちなみに 1,018,081 は素数でなくて、これを素因数分解すると 10092 です。fx-5800P のプログラムで計算してみると、1,018,081 未満で最大の素数は、1,018,057 だと分かります。1,000,000 (100万)までの素数は 78,498個あるので、8万個近くある素数の表を不揮発メモリに持っておくのは、関数電卓としてはあまり現実的ではないでしょう。1,018,081 以上でエラーになることから、ひょっとしてこれを実装していることも考えられますが、素因数分解だけのために原価を押し上げるメモリを使うのは疑わしいわけです。

そこで、メモリに保存された素数テーブルを使わず、完全ではないものの、素数を計算して、それで順次割り算してゆく方法は、うまくすると計算量を減らして、高速化できるのかも知れません。或いは、メモリ上の素数テーブル参照と計算の併用も現実的な折衷案かも知れません。

素数の計算については、以下の式が非常に効率よく素数を計算するものとして知られています。
オイラの素数の式 
これはオイラーが見つけた、素数 p を求める式です。全ての素数をもれなく見つけることはできません。
ただ、この式の面白いのは、x  が 0 から 39 の時に得られる数が全て素数だと言う点にあります。但し、x=39 の時得られる素数 1601 以下には、この式で得られない素数が沢山あります。1601 以下の全ての素数を算出できるわけではありません。

さらに、 が 0 から 60 の時は、x = 40, 41, 42, 44, 49, 50, 57 の7個の x 以外で、 p は素数になります。素数を算出する効率は、x が 0 から 60 で計算した61個の値のうち88.5% が素数になります。繰り返しますが、これで得られる3071 以下には、この式の結果以外に多くの素数があります。

xpxpxp
0411322326743
1431425127797
2471528128853
3531631329911
4611734730971
57118383311033
68319421321097
79720461331163
811321503341231
913122547351301
1015123593361373
1117324641371447
1219725691381523
391601
 ・・・・・・
603701
10081017113

ちなみに、x = 1009 の時 p = 1,019,131、x = 1008 の時 p = 1,017,113 となります。つまり、x = 1008 で得られる1,017,113 がこの式でエラーにならない最大素因数 1,018,057 に最も近いものだと分かります。この式では、100万までの素数の47.5% が求められることが調べられていて、効率は半分以下に落ちます。しかし、現在 fx-5800P や fx-9860GII に実装しているプログラムのロジック「2と奇数で約 50万回近く割り算する」よりも、1000回程度の割り算をする方が、計算量が 1/500程度になります。仮に3分かかっていた計算は1秒以下になりそうです。

与えられた整数に対して、先ず先に、このオイラーの式で得られる計算値から素数を選んで、それで順次割り算して、残った余りについて、2と奇数で順次割り算して計算すると言うアルゴリズムが考えられます。オイラーの計算値から少ない計算量で素数を見つけられれば、テーブルと計算の併用で、高速化の可能性があります。x をどの範囲まで使うのか、38 までとするか、60 とするか、1008 までとするか、その中間のどこかにするか、も実際の計算量とコマンドの処理速度から最適点を検討する必要があります。仮に、x = 1000 まで使うなら、1000の47.5% に相当する 475 個の素数で順次割り算するので、500 / 500,000,000 = 0.001% となり、他の計算量と計算時間を低く抑えられれば、大幅な高速化ができるかも知れません。

プログラムの実装は、そのうちやってみようと思います。もし先にプログラムを作られた方は、是非コメント欄で発表してください。お待ちしております。



ところで、余計な話になりますが、

The Asahi Shinbun Blobe - 数学という力 (残念ながら削除されたようです) というサイトでは、素数と円周率の関係、素数と宇宙の真理の関係について解説されていて、なかなか面白いです。素数は現代数学の花形の1なのですね。

ゼータ関数 
これは、リーマンと言う数学者が名付けたゼータ関数というものです。一番右の項は、オイラー積という総積計算で、素数 p がしっかり出てきます。

この式で、s=2 の時は、
ゼータ関数(s=2) 
となって、素数 p のオイラー積 と円周率 π が結びつくことが発見された歴史的な式をゼータ関数で表したものです。素数と円周率の関係式をより一般化したゼータ関数で表現することで、より深く調べることができるというわけです。上の記事によれば、この式を巡った素数の熱い研究が進められているようですね。簡単に素因数分解できる公式が存在するのかどうか?まだよく分かっていません。そのうち見つかる筈と言う人もいれば、存在しないかも知れないと言う人もいます。あまり簡単に計算できると、インターネットなどで使われている暗号が簡単に破られることに繋がるので、大問題です。

脱線すると、このゼータ関数で s=-1 の時は、
ゼータ関数(s=-1) 
なんて、なってしまいます。自然数を無限に足すと、-1/12 になる、なんとも受け入れられない結果です。実は、ゼータ関数は複素数の世界のものなので、一見あり得ない結果に見えるわけです。

カシオの高精度計算サイト Ke!san のココでも取り上げられています。
ここでは、明確に書かれていませんが、s=-1 で、実数の世界を複素数の世界に拡張(解析接続)しています。ゼータ関数の性質として、これはやっても良いこと(s=1 以外で解析接続できてしまう)なので、間違っちゃいないのですが、紛らわしいですね。

1+2+3+4+・・・  は実数の世界と誰でも思うので、自然数の無限和が負の数である -1/12 に収束するなどと言うのは、実数の世界では間違いです。でも複素数の世界では収束するので、ゼータ関数は物理の計算で重宝されているわけです。

素数は大きくなると、まばらになるのか?その密度はどうなっているのか? これもはっきりと分からない問題でしたが、2014年には素数は極端な偏りがなく万遍なく分布することが発見されました。→ こちら


素数の性質の研究は、非常にホットな分野ですね。まぁそれだけ分からないからこそ、暗号に使われるわけです。
深淵な研究は数学者に任せるとして、取りあえずプログラム電卓で素因数分解の高速化が出来るかも知れないということで、一旦区切ることにします。




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BMPファイルのロード - Casio Basicプログラミング

Casio Basicプログラミング
<目次>

誤字脱字・記載ミスや分かりにくい表現は随時追記・修正します

2018/01/08
追記修正 2020/01/17


[C.Basic] [FX / CG]

ビットマップファイルをロードして描画したい。



C.Basic では、ビットマップファイルを呼び出し、ロードして表示することができる。これは純正Caso Basicではできない。

C.Basic のグラフィックス画面は、フル画面モードで最大 384 x 216 ピクセル、標準モードでは 最大384 x 192 ピクセルのビットマップファイルを表示できる。

BmpLoad コマンドでロードする最低限のコード
BMPフォルダにある TEST.BMP をロードする例。

(サンプルプログラム) 
BmpLoad("/BMP/TEST")
ビットマップファイルの拡張子 .BMP を省略できる。画像の左上が座標 (0.0) になるように描画される。

純正Casio Basic はテキスト画面とグラフィックス画面の2つを区別して出力する仕様で、テキスト系コマンドを実行するとテキスト画面に出力、グラフィックス系コマンドを実行するとグラフィックス画面に描画する。そしてテキスト系とグラフィックス系のコマンドの出力先を同じ画面にできない仕様になっている。

一方、C.Basic では、出力先を自由に指定でき、グラフィックス画面にテキスト系コマンドを出力したり、テキスト系コマンドをグラフィックス画面出力可能。テキスト系コマンドとグラフィックス系コマンドを同じ画面に出力することも可能。

描画するビットマップ画像の左上の座標を指定することもできる。

(サンプルプログラム) 
BmpLoad("/BMP/TEST.BMP"),0,0
TEST.BMP の画像の左上を 座標(0.0) に指定して描画する。

純正Casio Basicのグラフィックス描画領域は 379 x 187 ピクセルであるが、C.Basic の標準モードでは 384 x 192 ピクセルで、さらにフル画面モードでは 384 x 216 ピクセルになっている。標準モードの画面の左上の座標は (0, 0) で、フル画面モードでの画面の左上の座標は (0, -24) となる。

そこで、最大 384 x 192 ピクセルのビットマップファイルをロードし、画面左上に併せて描画するには、上の2つの書式が使える。

一方、フル画面モードで最大 384 x 216 ピクセルのビットマップファイルをロードして表示するには、フル画面全体をクリアする_ClrVram コマンド実行することでロード先をフル画面に切替えた後、フル画面の左上の座標 (0, -24) を画像の左上に指定することもできる。

(サンプルプログラム)
_ClrVram
BmpLoad("/BMP/TEST.BMP"),0,-24,0
左上の座標の設定に続いて、0 を指定しているが、これはロード先を背景だけに指定するパラメータ。

なお、これまでのサンプルプログタムではロード先にテキスト画面かグラフィックス画面かを明示的に指定していない。
出力先を指定する Screen コマンドを使い、Screen.T とすればテキスト画面、Screen.G とすればグラフィックス画面が指定される。

グラフィックス画面をフル画面にし、その背景のみに 384 x 216 ピクセルのビットマップファイル (TEST.BMP) を描画するコードは以下のようになる。

(サンプルプログラム)
Screen.G:_ClrVram
BmpLoad'/BMP/TEST"),0,-24,0

ビットマップファイルの拡張子を省略している。


 ロードするビットマップファイルのファイル名を入力させる例
フル画面モードで最大 384 x 216 ピクセルのビットマップファイルをロード&描画する。

(サンプルプログラム)
'= Key-in file name
"_ _ _ _.BMP"→Str 1
"Input file name"?Str 1

'= Load BMP file
Screen.G:_ClrVram
BmpLoad(Str 1),0,-24,0


なお、ビットマップファイルは予めストレージメモリに転送しておく。呼び出す際はフォルダに対応していて、例えばBMPフォルダにある TEST.BMP をロードするには、この用例では /BMP/TEST.BMP と入力する。


入力時にエラーがあると、エラーメッセージと共にプログラムが中断する。そこで、エラー処理を追加してプログラムが中断しないようにする。

エラー処理を含んだ BMPファイルのロード&描画する例

(サンプルプログラム) ダウンロード: LOADBMP.g3m
'==BMP file loading routine==
' Ver 1.0  Krtyski//e-Gadget


'= Key-in file name          <ブロック1>
' file name→Str _1
"_ _ _ _.BMP"→Str 1
"Input file name"?Str 1


'= Check file existance        <ブロック2>
' exist:    S=file size
' not exist:  S=0 & Return -1

IsExist(Str 1)→S
If S=0:Then
"Not exist"
Return -1
IfEnd

'= Check BMP file format       <ブロック3>
' not BMP file: Return -1

""→Str 2         
[2020/01/17 追記: C.Basic for CG Ver 1.43での仕様変更のため]
{3,1}→Dim Mat θ.B
Load(Str 1)→Mat θ
For 1→I To 2
Mat θ[I]→Mat r
[2,I]
Next
0→Mat r
[2,3]
ClrMat θ
If StrCmp(Str 2,"BM"):Then
"Not exist"
Return -1
IfEnd

'= Load BMP file in         <ブロック4>
' back ground of text screen

Screen.G:_ClrVram
BmpLoad(Str 1),0,-24,0



<ブロック1>
ビットマップファイルをキー入力させる。
入力したファイル名を Str 1 に格納。

<ブロック2>
入力したファイル名 (Str 1) がフォルダ内に存在するかどうかを IsExist コマンドで調べる。
IsExist はファイルが見つかればそのファイルサイズ、見つからなければ 0 を返す。
そこで、S が 0 ならば Not exist と表示して、Return -1 を実行して、プログラム終了。
このルーチンを GosubProg コマンドで呼び出す場合は、-1 が返るのでエラー判定可能。

<ブロック3>
見つかったファイルがビットマップファイルかどうかを判定する。
ビットマップファイルはファイルの最初の2バイトが BM になっていることを利用。
この部分は、g3mファイルの場合は60バイト目からのファイル名を調べるなどに応用できる。
最初の2バイトが BM かどうかは、StrCmp コマンドで判定。一致すれば 0 を返し、そうでない時は 1 か -1 を返すので、0でない時 Not exist と表示して Return -1 を実行しプログラムを終了する。

<ブロック4>
ビットマップファイルをロードし、テキスト画面の背景に表示する。
ここまで来れば、入力したファイル名がビットマップファイルなので、BmpLoad コマンドでロードする。
BmpLoad(Str 1),0,-24,0 は、Str 1 のビットマップファイルをフル画面モードの左上の座標 (0, -24) から背景として描画する。




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プログラムライブラリ - OS内蔵ファンクションメニュー探索

プログラムライブラリ
<目次>

誤字脱字・記載ミスや分かりにくい表現は随時追記・修正します

2019/05/28
修正 2020/01/13


OS内蔵ファンクションメニュー探索 - SysFunc Ver 1.3


※ [2020/01/13] C.Basic for CGSysFinc Ver 1.3 を差替え再々アップデート (5桁の F-Key# へ対応できるように修正)


著作権者

やす (Krtyski)
[当ブログ管理人]



対応機種

- Casio fx-CGシリーズ - C.Basic for CG で動作
- Casio fx-9860Gシリーズ、fx-9750GIII - C.Basic for FX で動作



プログラムの説明

ファンクションキー探索プログラム - Check System F-Key

fx-CGシリーズ や fx-9860Gシリーズ、fx-9750GIII のOSには、ファンクションキーの様々なアイコン画像が内蔵されており、それぞれに System Function Key# が割り当てられている。C.Basic の独自コマンド FKeyMenu( は、[F1] から [F6] の位置に ファンクションメニューを表示できる。その際、OS内蔵の System Function Key# を指定すると内蔵されている画像を利用できる。そこで、ファンクションキーのアイコン画像と Key # を調べるために本プログラムを作成した。

その後 C.Basic for CG に独自のファンクションキーのアイコンを装備する計画があり、それに併せてプログラムを更新した。

  C.Basic for CGFKeyMenu( コマンドで呼び出せる Function Key# を調べる
  1. 画面左下に システムファンクションキーを表示する
  2. カーソルキーで システムファンクションキー#をスキャンする
   - カーソルキーの長押しで連続スキャン
   - 左右 / キー (◀▶) で1づつ Step スキャン
   - 上下 / キー (▲▼) で50刻みの Skip スキャン
  3. [F4](INPUT)[EXE] キーで数値の入力
  4. [F5](HELP) で使い方説明
    
   SysFunc3_2_1_f SysFunc3_2_2_f2 SysFunc3_2_3_f 
  ※ [2020/01/13 差替えアップデート]
    C.Basic for CG 独自に実装する(予定)の Function Key アイコンは F-Key# 10001 以降。
    それに対応するため 5桁の F-Key# に対応するよう変更した。
  ※ [2020/01/13 差替え再アップデート]
    システム内蔵Function Keyアイコンの上限番号はOSバージョンに依存するので、
    OSバージョンを自動判定し、仕様機種とOSに応じた上限番号を表示するように変更した。
機種OSバージョン判定に使ったOSバージョンFunction Key上限番号
    fx-CG101.04.32001.041248
fx-CG202.02.02002.021276
fx-CG103.10.32003.101378
fx-CG203.11.02003.111379
fx-CG503.20.02023.201394
fx-CG503.30.02023.301400
  ※ [2020/01/13 差替え再々アップデート]
    カスタムFunction Keyアイコンを Function Key アイコンは F-Key# 10001 以降。
    F-Key# が 10001 以上の時は、画面中央に Custom F-Key# と表示
    それ未満の時は、画面中央に System F-Key# と表示するように変更した。
    
  C.Basic for FXFKeyMenu( コマンドで呼び出せる System Function Key# を調べる
  1. 画面左下にシステムファンクションキーを表示する
  2. カーソルキーで システムファンクションキー# をスキャンする
   - カーソルキーの長押しで連続スキャン
   - 左右 ←/→ キー(◀ ▶) で1づつ Step スキャン
   - 上下 ↑/↓ キー (▲ ▼) で50刻みの Skip スキャン
  3. [F4] (INPUT)[EXE] キーで数値の入力
  4. [F5] (HELP) で使い方説明

   SysFunc3FX_1 SysFunc3FX_3 SysFunc3FX_2 



プログラムファイルのダウンロード

※ fx-CGシリーズ用
   SysFunc3.g3m のダウンロード

※ fx-9860Gシリーズ、fx-9750GIII 用
   SysFunc3.g1m のダウンロード




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プログラムライブラリ - TimeZone

プログラムライブラリ
<目次>

誤字脱字・記載ミスや分かりにくい表現は随時追記・修正します

最終更新:
2020/01/08

Time Zone (2020年版)

2020年のヨーロッパ・北米夏時間に対応 [2020/01/08]
※ プログラム改善: >>>> 表示で何も入力せず確定時、値が 0 に変更されていたのを変更しないように改善した [2017/08/14]


著作権者

やす (Krtyski)
[当ブログ管理人]



対応機種

Casio fx-9750GIII, fx-9860Gシリーズ (G, GII, GIII) で走る純正Casio Basic および C.Basic for FX で動作
Casio fx-CGシリーズ で走る純正Casio Basic および C.Basic for CG で動作
(fx-FD10 Pro の純正Casio Basicでも動作すると思われます)

Casio fx-5800P 用は こちら



プログラムの説明

TimeZonefx-5800P用に作成したプログラムを移植したものです。プログラム作成方法については Casio Basic 入門をご覧下さい。

TimeZone は、日本、ヨーロッパ、北米での同じ時間を表示します。その際、タイムゾーンや夏時間を考慮した時間を計算します。

具体的には、3カ所のうち、どこか一カ所の時間を入力すると、時差を計算して他の二カ所の時間を表示するプログラムです。

例えば、日本、ドイツ、モントリオールの3カ所から接続して電話会議を行う時に、それぞれが夜中にならないように時間を決める時などに役立ちます。

2020年の夏時間は、
 ・ヨーロッパは、3月29日午前1時 ~ 10月25日午前1時
 ・北米は、3月8日 午前2時 ~ 11月1日午前2時
となります。
TimeZone では、
 ・ヨーロッパは、3月29日 ~ 10月274
 ・北米は、3月8日 ~ 10月31日
としています。


本プログラムでは、以下のタイムゾーンや夏時間の設定が行えます。

- 日本
 JST: 日本標準時間

- ヨーロッパ
 WET: 西ヨーロッパ標準時間
 CET: 中央ヨーロッパ標準時間
 EET: 東ヨーロッパ標準時間
 FET: 極東ヨーロッパ時間

 WEST: 西ヨーロッパ夏時間
 CEST: 中央ヨーロッパ夏時間
 EEST: 東ヨーロッパ夏時間
 FEST: 極東ヨーロッパ夏時間
EU-TZ 

- 北米(アメリカ、カナダ)
 PST: 太平洋標準時間
 MST: 山岳部標準時間
 CST: 中部標準時間
 EST: 東部標準時間

 PDT: 太平洋夏時間
 MDT: 山岳部夏時間
 CDT: 中部夏時間
 EDT: 東部夏時間

US-TZ 



プログラムの使い方

0:JST - 
日本時間 の入力と表示
       [0] キー: 日本時間入力

1:CET - ヨーロッパ時間の入力と表示
       [1] キー:    ヨーロッパ時間入力
       [1] キー長押し: ヨーロッパ内のタイムゾーン設定
       [3] キー:    ヨーロッパの夏時間ON/OFF
       [3] キー長押し: 夏時間の期間を表示
     
2:EDT
- 北米時間の入力と表示
       [2] キー:    北米時間入力
       [2] キー長押し: 北米内のタイムゾーン設定
       [4] キー:    北米の夏時間ON/OFF 
       [4] キー長押し: 夏時間の時間を表示

[3] キー、[4] キー長押しで表示される夏時間について:
2020年の夏時間の開始と終了は、ヨーロッパでは午前1時、北米では午前2時になっています。本プログラムでは、夏時間終了日を実際の設定日の前日を表示するようにしています。終了設定日の午前0時から午前1時 / 午前2時までの時間帯は、本来まだ夏時間のままですが、寝静まっている時間帯なので無視しています。現実的には問題ないと思いますが、留意してください。



プログラムの構成

メインプログラム: TIMEZONE
サブルーチン: TZCTZDTZMTZS、TZL
入力ボックス: INPI



プログラムファイル - TIMEZONE

※ fx-9750GIII, fx-9860Gシリーズ と fx-CGシリーズ の純正Casio Basic ならびに C.Basic で動作します。

プログラムファイル (g1m) のダウンロード
プログラムファイル (g3m) のダウンロード

fx-9860G/GII ならびに fx-CG10/CG20/CG50 専用の入力ボックス INPI がそれぞれ必要です。

  • TIMEZONE には、入力ボックス INPI が必要です(ダウンロードファイルに含まれています)。
  • 同梱されている g1m ファイルは fx-9860GII 向けですが、変更せずそのまま fx-CG20 に転送すると正常動作します。但し fx-CG20 に転送後 fx-CG20用の g3m ファイルに変換されます。
  • ダウンロードファイルに含まれる Text_files フォルダ内に、ソースコード(テキストファイル)があります。これらテキストファイルは C.Basic で g1m ファイルから変換したものです。
  • サブルーチン TZL は、C.Basic で使用するものです。但し純正Casio Basic では実行が無視されるので転送しても問題ありません。
  • メインルーチン TIMEZONE の1行目の 300→L はキー長押し時間を決める。長押しと認識するまでの時間を短くするにはこの数値を小さくする。長くするには数値を大きくする。
  • C.Basic では 現在設定されている実際の実行速度に対応して サブルーチン TZL で長押し時間を自動調整しているので、1行目での長押し時間の設定は動作に影響しない。これは特にオーバクロック時に有効。
  • ヨーロッパと北米の夏時間期間表示は、サブルーチン TZS にある。2017年の夏時間に対応した変更を行っている。 



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fx-5800P プログラムライブラリ - Time Zone

プログラムライブラリ
<目次>

誤字脱字・記載ミスや分かりにくい表現は随時追記・修正します

最終更新:
2020/01/08

Time Zone (2020年版)

※ CcLinkerでfx-5800Pに転送できる CCLファイルがダウンロード可能に [2018/10/29]
2020年のヨーロッパ・北米夏時間に対応 [2018/01/20]
※※ プログラム改善: >>>> 表示で何も入力せず確定時、値が 0 に変更されていたのを変更しないように改善した [2017/08/14] 


著作権者

やす (Krtyski)
[当ブログ管理人]



対応機種

Casio fx-5800P 専用
Casio fx-9860G / fx-9860GII シリーズ、fx-CG10、fx-CG20、fx-CG50 用は こちら



プログラムの説明

TimeZone の作成方法は Casio Basic 入門をご覧下さい。

Time Zone は、日本、ヨーロッパ、北米での同じ時間を表示します。その際、タイムゾーンや夏時間を考慮した時間を計算します。

具体的には、3カ所のうち、どこか一カ所の時間を入力すると、時差を計算して他の二カ所の時間を表示するプログラムです。

例えば、日本、ドイツ、モントリオールの3カ所から接続して電話会議を行う時に、それぞれが夜中にならないように時間を決める時などに役立ちます。

2020年の夏時間期間:
 ・ヨーロッパ: 3月29日 午前1時 ~ 10月25日午前1時
 ・北米:3月8日午前2時 ~ 11月1日午前2時
TimeZoneでは、
 ・ヨーロッパ:3月29日 ~ 10月24日
 ・北米:3月8日 ~ 10月31日
としています。

以下のタイムゾーンや夏時間の設定が行えます。

- 日本
 JST: 日本標準時間

- ヨーロッパ
 WET: 西ヨーロッパ標準時間
 CET: 中央ヨーロッパ標準時間
 EET: 東ヨーロッパ標準時間
 FET: 極東ヨーロッパ時間

 WEST: 西ヨーロッパ夏時間
 CEST: 中央ヨーロッパ夏時間
 EEST: 東ヨーロッパ夏時間
 FEST: 極東ヨーロッパ夏時間
EU-TZ 

- 北米(アメリカ、カナダ)
 PST: 太平洋標準時間
 MST: 山岳部標準時間
 CST: 中部標準時間
 EST: 東部標準時間

 PDT: 太平洋夏時間
 MDT: 山岳部夏時間
 CDT: 中部夏時間
 EDT: 東部夏時間

US-TZ 



プログラムの使い方

0:JST - 日本時間 の入力と表示
       [0] キー: 日本時間入力

1:CET - ヨーロッパ時間の入力と表示
       [1] キー:    ヨーロッパ時間入力
       [1] キー長押し: ヨーロッパ内のタイムゾーン設定
       [3] キー:    ヨーロッパの夏時間ON/OFF
       [3] キー長押し: 夏時間の期間を表示
     
2:EDT
- 北米時間の入力と表示
       [2] キー:    北米時間入力
       [2] キー長押し: 北米内のタイムゾーン設定
       [4] キー:    北米の夏時間ON/OFF 
       [4] キー長押し: 夏時間の時間を表示

[3] キー、[4] キー長押しで表示される夏時間について:
(2018年版) 夏時間の開始と終了は、ヨーロッパでは午前1時、北米では午前2時となっています。本プログラムでは、夏時間終了日を実際の設定日の前日を表示するようにしています。終了設定日の午前0時から午前1時 / 午前2時までの時間帯は、本来まだ夏時間のままですが、寝静まっている時間帯なので無視しています。現実的には問題ないと思いますが、留意してください。


プログラムの構成

メインプログラム: TIMEZONE
サブルーチン: TZCTZDTZMTZS
入力ボックス: INPI



プログラムファイルのダウンロード

CcLinker で fx-5800P に転送できるCCLファイルのダウンロー
  ※ 上記6つのプログラムファイルに対応するCCLファイルが含まれます。
  CcLinkerの紹介

※ fx-5800P でのみ動作します。
fx-5800P 用入力ボックス INPI が必要です。
2020年版対応は、TSZ のみの更新です。






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温故知新 - fx-9860G

プログラム電卓 温故知新
 - 搭載プログラミング言語に注目して、プログラム電卓の変遷を考える - 
<目次>


 
2020/01/04
追記 2020/01/07

過去から現在に至る性能や仕様の変化を調べ、プログラミング言語を中心にカシオ製プログラム電卓の系譜を明らかにする。

6. 新世代 Casio Basic の登場 - プログラム機能の大幅な向上

今回は、CFX-9850GC PLUS の後継機として海外で2005年発売の fx-9860G を取り上げる。国内では、fx-5800P が先に発売され(2006年9月)、その後に fx-9860G が発売されている (2006年10月以降)。国内と海外で発売時期が異なるのは珍しいことではない。
2006年9月発行のカシオ電卓総合カタログ
2007年12月発行のカシオ電卓総合カタログ

カシオ機に搭載されたプログラム言語に初めて GetkeyLocate が追加され、画面スクロール無しで入出力ができるようになったのが CFX-9850G であった。これに関数やコマンド類が追加され、このシリーズ最終モデルが CFX-9850GC PLUS であったが、プログラミング言語としては色々な癖があり、使い易いとは言えなかった。

CFX-9850GC PLUS の後継機種として、その言語仕様ならびにエディタ画面が大幅に改善された fx-9860G が今回取り上げるモデルで、これには 新世代Casio Basic と言うべき言語が搭載されていた。

[2020/01/07 追記]
2005年に発売されてから、fx-9860G の基本設計はそのまま新機種 (例えば、2020年での fx-CG50) に引き継がれてているのは、このモデルの設計がどれだけ野心的であったか、そしてその完成度の高さを示している。


Casio fx-9860G

fx-9860G_Calc
fx-9860G が、欧米で2005年に発売され、国内では 2006年10月以降(おそらく2007年?)に発売された。

カタログ 取扱説明書 (e-Gadgetサイト) 

CPUは、日立製SH3のカスタムチップ SH7705を使っている。

メインメモリは 63KBで、Casio Basicを含めたOSが格納されている。

fx-9860G
の最大の特徴の1つはアドインプログラムが使えるようになったことで、1.5MBもの(当時としては広大な)ストレージメモリ(保存メモリ)を備えており、アドインプログラムを保存し走らせることが出来る。なお、アドインプログラム作成用のSDKも公開された。SDKの入手

なお、オーストラリア版の fx-9860G AU は、理由が不明だがストレージメモリが 0.8MB と少ない。

液晶周りの光沢コーティングや筐体裏側のつや消し黒塗装は高級感を演出していて、個人的には好きなデザインだ。

OSの変遷
2005年の発売当初のOSバージョンは 1.02、その後 1.03、1.04、1.05 とアップデートファイルが提供された。
2009年に fx-9860GII (SH3, OS2.00) が発売されると、機能を近づけた(実は完全に同じにならなかった) fx-9860G 用の OS2.00 へのアップデートファイルが公開され、その後 OS2.01 へのアップデートファイルが提供された。

OS 1.02 と 1.03 では Casio Basicの処理速度には大きな違いがなく、一連のバージョンの中で最速であった。OSがアップデートするにつれCasio Basicのデバッグと機能追加が進むが、一方で処理速度は遅くなる傾向は確実にある。実際にベンチマークを行った結果は以下に示す。

電源の変更
1つ前の機種 CFX-9850GC PLUS までは、駆動用電池に加えてバップアップ用電池を使っていた。fx-9860G も初期はバックアップ用のコイン型リチウム電池CR2032を用いていたが、そのうちバックアップ電池を使わずに単四電池4本のみでバックアップ機能を実現するようにマイナーアップデートされた。

fx-9860G_Battery_Case2 
左は コイン型リチウム電池 CR2032 を使うモデル、右は 単四4本のみでバックアップ機能のあるもの。バックアップ電池用の樹脂型が修正され、その跡が見てとれるのが興味深い。この電源周りのバージョンアップは特にアナウンスされないままマイナーバージョンアップされたようだ。

関数電卓としての性能

分数表示と演算精度
235÷658 を計算すると 0.3571428571 と表示される。ここで、[F↔D]キーを押すと 5/14  と表示される。計算精度は内部15桁だ。

複素指数関数
eπi を計算してみる。計算できれば答えは -1 になる。
1つ前の機種 fx-9850GC PLUS では複素指数関数の計算ができず、演算エラー(Ma ERROR) になったが、fx-9860G で初めて複素指数関数の計算に対応した。

一方、e(5/3)πi を計算させると、0.5 - 0.8660254038i と表示され、[F↔D]キーを押すと 1/2 - 0.8660254038i  と表示される (OSバージョンによらない)。なお、次の機種 fx-9860GII 以降は自然数式表示機能が徹底され、これを計算すると 1/2 - √3/2i と表示される。
 

搭載言語 (Casio Basic) の概要

fx-9860G OS1.0x では、CFX-9850GC PLUS の搭載コマンドと同一である。その後 OS2.01 では 次機種の fx-9860GII で追加された文字列処理や細かなコマンドと同じものが追加された。

主なコマンド (OS1.0x) [2020/01/07 修正 ※]
 - 入力:?→, Getkey
 - 出力:" ", , Locate
 - テキスト画面消去:ClrText
 - 無条件ジャンプ:Goto / Lbl
 - 条件ジャンプ: (fx-4000P、7000G と同じ仕様)
 - カウントジャンプ:Isz, Dsz
 - 条件分岐:If / Then / Else / IfEnd
 - For ループ:For / To / Step / Next
 - Do ループ:Do / LpWhile
 - While ループ:While / WhileEnd
 - 制御コマンド:Break, Return, Stop
 - 比較演算: =,, >, <,,
 - 論理演算: And, Or, Not
 - 配列:無し
 - リスト:List (配列としても使える)
 - 行列:Mat (配列としても使える)、行列初期化コマンド
Dim
 - 各種関数

1つ前の機種 CFX-9850GC PLUS の以下の問題は解消されている;
 - Then / Else 直後の改行:Syn ERROR になる
 - 行頭での改行 (空白行):Sys ERROR になる

 主なグラフィック コマンド [OS1.0x]
 - グラフ設定:CoordOn/CoordOff, GridOn/GridOff,
        AxesOn/AxesOff, LabelOn/LabelOff
 - 座標系設定:ViewWindow,
        Xmax/Xmin/Xscl/Xfct, XdotYmax/Ymin/Yscl/
Yfct
 - 消去コマンド:ClrGraph, Cls
 - Sketchコマンド:Plot, PlotOn/PlotOff, PlotChg, PxlOn, PxlOff, PxlTest
          Line, F-Line, Vertical, Horizontal, Circle
 - 各種グラフコマンド

但し、Plot, PlotOn, PlotOff, PlotChg, PxlOn, PxlOff, PxlChg, Circle の詳細仕様は、CFX-9850GC PLUS と異なり、これらのコマンドのパラメータに X, Y を使えるが、これらのコマンドを実行すると論理座標系での X と Y の値が 変数 X と Y に自動的に入力される仕様を意識して X と Y を使う必要がある。


プログラムの作成と実行
キーコード取得プログラムを入力した。コマンドを入力するためのキー (キープレス) は、1つ前の CFX-9850GC PLUSfx-9860Gシリーズ、fx-9860GIIシリーズ、最新の fx-CGシリーズと全く同じだ。言語機能の基本仕様は1つ前の機種 (CFX-9850GC PLUS) から固まっていることが分かる

ファイル名:GETKEY
Locate 1,1,"=== Get Keycode ==="
Locate 1,3,"Keycode ="
Locate 10,5,"Hit Any Key"
Locate 13,7,"[AC]:Quit"
While Getkey
WhileEnd
Do
Do:Getkey→K
LpWhile K=0
Locate 9,3,"=   "
(スペース6個)
Locate 11,3,K
LpWhile 1


Keycode 
この画面は、[DEL]キーを押して、キーコード44が表示されているところだ。
なお、fx-9860G では アルファベットの小文字をプログラムで使えるようになった。
fx-9860GIIシリーズや fx-CGシリーズと同様に、テキスト表示の範囲は21桁、7行だ。

プログラムリスト
Program_List 
Program List には、アルファベット順にプログラム名 (ファイル名) が並んでおり、アルファベット順になっていなかった CFX-9850GC PLUS の入力順という仕様よりも大幅に使いやすく改善されている。

プログラムの編集
プログラム編集画面は、挿入モードになっており、使いやすい。

1つ前の CFX-9850GC PLUS まではプログラム編集は上書きモードになっており、極めて使いづらかった。ちなみにスタンダード関数電卓 (fx-991MSなど) も上書きモードになっていた。実は、2005年以降発売のプログラム電卓 (fx-9860G) やスタンダード関数電卓 (fx-991ES) から一斉に上書きモードに変更されている。

おもしろいことに、シャープも40周年記念モデルが発売されたほぼ同じ時期に上書きモードから挿入モードに一斉に切り替えられているようだ。余談だが、ソニー創業者の一人である井深大氏の著書(「ボスニアの夜は更けて」だったかよく覚えていないが...)で、"技術の連通管現象" ということを書かれている。世の中の技術の進歩はどこかで底通していて、そのレベルは同じように上がる、どこかだけのレベルが上がることはない、といった意味のことであり、これが思い出される。
 
パソコンで文章を書く時は、通常は挿入モードで利用しているはずで、上書きモードは必要な時のみ切り替えて使うと思う。fx-9860Gシリーズ以降のプログラム電卓では、プログラム編集画面は常に挿入モードになっていて、必要な時に [SHIFT]-[DELL](INS) と押して上書きモードに切り替えて使う。

以前のプログラム電卓やポケコンでは、区切り文字を使ってプログラムをズラズラと1行に書いていた。fx-9860G において、そのく仕様から完全に決別したと言える。


プログラムの転送
3Pin_USB_Link PCリンク : 3Pin - USB ケーブル利用
3pin-USBケーブル (SB-88) と プログラムリンク ソフトウェア (FA-124) を使えばPCリンクや電卓の画面取得が可能になる。
3pin-USBケーブル (SB-88)
現在は製造中止品だが、takumako様により互換ケーブルが有償頒布されているので私はこれを利用した。
プログラムリンク ソフトウェア (FA-124)
カシオのサイトから無償ダウンロードできる。

 電卓間転送
3pin-3pinケーブル (SB-62) を使えば、3pin端子のあるグラフ関数電卓とプログラムの転送ができる。
3pin-3pinケーブル (SB-62)
まだ販売されているが、takumako様により互換ケーブルが有償頒布されている。SB-62 は fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズの国内正規版には標準添付されている。

USB_USB_Link PCリンク:USB (mini) - USA (A) ケーブル利用 
fx-9860G に同梱される USB(mini)-USB(A)ケーブルを用いると、3Pin-USBケーブル利用よりも高速に転送可能だ。プログラムリンクソフトウェア (FA-124) を使えばPCリンクや電卓の画面取得が可能になる。


ところで、PCへ転送されるファイルは g1m ファイル (拡張子 g1m) だ。










テキストベース・プログラム
モグラ叩きゲーム
以前 fx-9860GII で作ったアクションゲーム - "Whack-a-Mole (もぐら叩き)" を転送した。fx-9860G の OS2.0 以上なら完全互換で動作した。ここで転送したプログラムファイルは、WHACKAMOWAMINPI の3つだ。

WAM_1 WAM_2 

fx-9860G OS1.02OS1.05 では、RanInt#( 関数が備わっていないので、RanInt#( の代わりに Int(Ran#( を使って同等に動作するように変更する必要があった。OS2.0 以上にアップデートすれば、RanInt#( 関数が追加さるので、fx-9860GII と完全互換で動作するようになる。


fx-9860G でのプログラミング

1つ前の CFX-9850GC PLUS からの改善点
CFX-9850GC PLUS のプログラミング言語 Casio Basic は数々の問題が残っていたが、fx-9860G で殆ど改善された。以下に個別の項目を列挙する。

空行 (改行のみの行) はSyn ERROR になる
 この問題は改善された。これは、昔の1行プログラミングの時代の影響が解消された。

Then / Else の直後を改行すると Syn ERROR になる
 この問題は改善された。上の空行禁止の問題の解消と併せて、If ステートメントの可読性が大いに向上した。

ループ (While / Do) の2重構造で、内側のループと If の入れ子構造が共存すると IfEnd のところで Syn ERROR になる
 この問題は改善された。このエラーは、While / DoIf の構造制御のスタック管理に失敗しているバグと考えられ、構造制御ステートメント While / Do を追加した直後に潜り込んだバグだったと思われる。 

出力 "" で内部カーソルが改行されない
 この問題は改善された。

行末に区切り文字 : があると Syn ERROR になる
 この問題は改善された。

出力文字列に : を含む行を ' でコメントアウトすると Syn ERRORになる
 ※対策:機切り文字 : の直後に ' を付加する
この問題は、fx-9860Gだけでなく、fx-9860GII や fx-CGシリーズにも残っており、カシオは操作マニュアルを修正して対応している。詳しくは 楽屋裏 - Casio Basic コメントアウト '  のバグ を参照

出力命令 " " では1文字ごとに出力する
"Strings" を実行するとタイプライターのように、左から1文字づつ出力されることは無くなった

fx-9860G OS1.0x では実装されていない関数やコマンドでの Syn ERROR
例えば、Whack-a-Mole (モグラ叩きゲーム) で使っている、RanInt#( は OS2.00 以降にはあるが、OS1.0x には無い。そこで、以下のようにすれば対抗可能だ。 
- RanInt#(1,9)Int(90Ran#÷10)+1 に変更
- RanInt#(1,3)Int(30Ran#÷10)+1 に変更
- RanInt#(0,9)Int(10Ran#) に変更

Do / While / For ループからの脱出に Dsz / Isz を使うと Syn ERROR になる
 ※対策:ループを Lbl / Goto に置き換えるか、ループ脱出に Break を使う
この現象は、fx-5800Pfx-9860G 以降のグラフ関数電卓でも存在することが確認されている。
⇒ 楽屋裏 - Dsz によるループ脱出 参照
カシオお客様サポートのご担当者とのやりとりの結果、ループの後 (必ずしも直後でなくても良い) に Goto 0:Lbl 0 と記述することでこのエラーを回避できることが分かっている (詳細は上記記事参照)。


処理速度の比較

四則演算および関数計算

加算プログラム
加算 

プログラムを起動し、N に 1000 を入力して実行時間を計る。

fx-9860G のプログラム
fx7000G_source_adding_up_Isz2 AddTest_For 
繰り返しに Goto / Lbl を使うケース(左)と For を使うケース(右)の2通りで処理速度を調べる。


数値積分プログラム
関数 

この通史積分は、とね日記 - 席初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO FX-502P (1979), FX602P (1981) で取り上げられているものをそのまま使わせていただく。

プログラム起動し、分割数として 1000 を入力して、時効時間を計る。

fx-9860GS のプログラム
FuncTest_Goto_9850 FuncTest_For_985 
クリア絵師に Goto / Lbl を使うケース(左)と For を使うケース(右)の2通りで処理速度を調べる。

以前調べた結果と併せて、上記の計算速度のを比較結果を示す [2019/07/31 修正]
加算プログラム数値積分プログラム
機種実行時間比較実行時間 (秒)比較
FX-502P123.1 秒---1261.8 秒---
FX-602P111.2 秒1.1 倍716.5 秒1.8 倍
FX-603P37.8 秒3.3 倍166.2 秒7.6 倍
fx-4000P61.7 秒2.0 倍349.1秒3.6 倍
fx-4500P195.0 秒0.6 倍798.1 秒1.6 倍

fx-4800P
A=A+126.3 秒4.7 倍114.3 秒11.0 倍
Isz A21.2. 秒5.8 倍109.4 秒 11.5 倍
fx-7000GA=A+120.7 秒5.9 倍146.1 秒8.6 倍
Isz A19.3 秒6.4 倍143.2 秒8.8 倍
CFX-9850GGoto20.9 秒5.9 倍98.3 秒12.8  倍
For9.2 秒13.4 倍84.3 秒15.0 倍
CFX-9850GC PLUSGoto22.0 秒5.6 倍100 秒12.6 倍
For9.2 秒13.4 倍85.4 秒14.8 倍






fx-9860G

OS 1.02
Goto2.1 秒61.6 倍14.6 秒86.4 倍
For1.3 秒94.7倍13.2 秒95.6 倍
OS 1.03Goto2.1 秒61.6 倍14.4 秒87.6 倍
For1.1 秒111.9 倍13.1 秒96.3 倍
OS 1.04Goto2.5 秒61.6 倍14.3 秒88.2 倍
For1.2 秒102.6 倍13.0 秒97.1 倍
OS 1.05Goto2.3 秒61.6 倍14.3 秒88.2 倍
For1.2 秒102.6 倍13.1 秒96.3 倍
OS 2.01Goto3.6 秒34.2 倍17.0 秒74.2 倍
For2.5 秒49.2 倍15.1 秒83.6 倍
記念すべき FX-502P を基準に、速度が何倍になっているかも併せて示している。

加算処理、数値積分(関数処理) は格段に高速化し、FX-502P の 100倍程度だ。Goto / Lbl ループより For の方が倍近く速い。
OSのバージョンにより、処理速度の差が顕著に表れている。OS 1.03 と OS 1.04 が最も高速だ。
次機種 fx-9860GII の登場に併せてがOS 2.01 へのアップデートファイルが提供され、使える関数が増強された。但し処理速度は遅くなった。


グラフィックス描画
▶ ドット描画プログラム

fx-7000G のグラフィック画面が 95 x 63 ドットなので、それに合わせて fx-9860G でも 95 x 63 ドットを塗りつぶして処理速度を比較する。

fx-7000G のプログラム
fx7000G_Dot DOT_fx7000G  

fx-9860G のプログラム
Dot_Plot Dot_Pxl 
Plot を使うケース(左)と PxlOn を使うケースの2通りで処理速度を調べる。

PlotPxlOn
fx-7000G213 秒
CFX-9850G926.5 秒0.23 倍496.0 秒0.43 倍
CFX-9850GC PLUS901.1 秒0.24 倍929.1 秒0.23 倍
fx-9860GOS 1.02251.2 秒0.85 倍255.7 秒0.83 倍
OS 1.03251.7 秒0.84 倍256.6 秒0.83 倍
OS 1.04252.8 秒0.84 倍257.5 秒0.83 倍
OS 1.05251.9 秒0.85 倍256.7 秒0.83 倍
OS 2.01295.8 秒0.72 倍301.7 秒0.71 倍

fx-9860G では、CFX-9850GC PLUS よりも3倍程度高速化している。
また1つ前の CFX-9850GC PLUS では、PxlOn によるドット描画は Plot の2倍程度の処理時間であったが、fx-9860G では PxlOnPlot は同等レベル、PxlOn が僅かに高速であった。

但し、fx-7000G よりは依然遅い。加算処理や関数処理は大幅に高速化しているのに、ドット描画が大変遅い理由として画面更新が大変遅いことが挙げられる。


画面更新プログラム
上で、画面へのデータ転送が処理速度のボトルネックになることが分かったので、頻繁に画面更新するプログラムを実行して、その処理速度を調べて比較することにする。

ところで Getkey コマンドが返すキーコードは、テンキーや[EXE]キーだけでなく、[AC]を除く全てのキーに対応しており、Locate コマンドで任意の位置への出力が可能なので、プログラムの自由度が大きく、画面がスクロールしないプログラムを書ける。そして画面がスクロールしないプログラムでは、画面更新速度は重要な評価ポイントになる。これが適用できるのは、CFX-9850G, CFX-9850GC PLUS そして fx-9860G なので、これらのデータを比較する。

出力画面は、テキスト画面とグラフィックス画面 (グラフ画面) の2つがあり、これらは同時に表示できない。そこでテキスト画面の高速更新プログラムとグラフィックス画面の高速更新プログラムを作成して評価に利用することにする。

グラフィックス画面更新プログラム - モンテカルロ法にょる円周率計算 - MONTECAR
Moneca_fx-9860G 
プログラムのダウンロード - Montecar.g1m を電卓に転送する
プログラムの詳細はこちら
ランダムに500回点を打って出力するまでの時間を調べる。

テキスト画面更新プログラム - ピタゴラス数の計算 - PYTHA
Pytha_fx9860G 
プログラムのダウンロード - PYTHA.g1m を電卓に転送する
プログラムの詳細はこちら
ピタゴラス数500個を計算して結果を出力するまでの時間を調べる。

MONTECARPYTHA
CFX-9850G294.3 秒165.6 秒
CFX-9850GC PLUS295.2 秒0.99 倍267.7 秒0.62 倍
fx-9860GOS 1.0276.0 秒3.87 倍115.4 秒1.44 倍
OS 1.0389.3 秒3.30 倍115.8 秒1.43 倍
OS 1.0489.4 秒3.30 倍115.8 秒1.43 倍
OS 1.0589.2 秒3.30 倍115.9 秒1.43 倍
OS 2.0195.8 秒3.07 倍128.7 秒1.29 倍

GetkeyLocate を最初に搭載した CFX-9860G を基準に、処理速度の比率も合わせて示した。

MONTECAR はグラフィック画面にドットを繰り返し描画する。fx-9860G での処理速度向上は3倍以上になった。PYTHA はテキスト画面に文字を繰り返し出力する。fx-9860G での処理速度は 1.3~1.4倍程度となった。これらの比較から、fx-9860G ではテキスト出力は多少速くなり、グラフィックス出力が大きく向上したと言える。

fx-9860G のOS が 1.0x から 2.01 にアップデートされると、明らかに画面出力が遅くなったことも併せて分かる。


プログラム電卓の系譜 

単なる計算やグラフ表示のマクロ言語から脱却し、アプリケーションとしてのプログラムを書けるように進化した Casio Basic を搭載したのが fx-9860G だ。カシオのプログラム電卓の中で極めて大きな進化を遂げたモデルであり、現行モデルの基本設計がこのモデルで固まった。

fx-9860G は、カシオのプログラム電卓で初めてアドインプログラムを走らせることができ、それを開発するための公式SDKを提供した野心的なモデルでもある。

プログラム編集モードにおいて 挿入モードがデフォルトになった点も高く評価できる。2005年発売の fx-9860G だけでなく、この年以降に発売されるプログラム電卓と関数電卓の全てがデフォルトで挿入モードに変更されているのは、カシオ電卓事業における大きな判断があったと思われる。

2005年発売の fx-9860G のハードウェア仕様、関数やコマンド類全てにおける基本設計は、2020年現在の fx-CG50 にまで引き継がれている。

fx-9860G は、新たにUSBポートを備え、PCとUSBケーブルでリンクできるようになり、従来の 3Pin - USB接続よりも高速なデータ転送が可能になった。SDカードをストレージとして使える fx-9860G SD が同時発売されたことから、データ保存とデータリンクに新たな機能を提供するモデルとなった。

さらに 2007年発売の fx-9860G Slim も重要なモデルで、クラムシェル(2つ折り)タイプで小型化しつつ液晶画面の大型化が実現した。ハンドヘルド電卓として世界初のバックライト機能も追加された。(fx-9860G Slim については別途まとめている)

fx-9860G シリーズは、ハードウェアとソフトエアの基本設計は、その後のグラフ関数電卓に色濃く引き継がれている。カシオの電卓開発史上、最大のマイルストーンと言って良いと思う。

fx-9860G シリーズに搭載されている Casio Basic は、fx-4000Pfx-7000G の上位互換の仕様を有しており、Casio basic の系譜は fx-9860G に引き継がれ、大きく改善され、ようやくマクロ処理ではない実用的なアプリ開発が可能な言語に仕上がった集大成が fx-9860G である。

fx-9860G の Casio Basic は、fx-5800P に移植され、さらに改善されることになる。



温故知新 - FX-502P / FX-602P / FX-603P
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温故知新:番外編 - 関数電卓としての使い勝手



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プログラム電卓 温故知新

プログラム電卓 温故知新
 - 搭載プログラミング言語に注目して、プログラム電卓の変遷を考える -

 
2020/01/04

特定のカシオ製プログラム電卓について、過去から現在に至る性能や仕様の変化を調べ、プログラミング言語を中心にカシオ製プログラム電卓の系譜を明らかにする。


目 次

温故知新 - FX-502P / FX-602P / FX-603P
 1. キーストローク式言語 - 携帯型プログラム電卓の普及

温故知新 - fx-4000P / fx-4500P / fx-4800P
 2. 新しいプログラミング言語の指向 - 可読性の向上

温故知新 - fx-7000G
 3. グラフ機能の追加

温故知新 - CFX-9850G
 4. Casio Basic 登場 - 可読性と機能の向上 (1)

温故知新 - CFX-9850GC PLUS
 5. 新世代 Casio Basic 登場前夜 - 可読性と機能の向上 (2)

温故知新 - fx-9860G
 6. 新世代 Casio Basic の登場 - プログラム機能の大幅な向上

温故知新 - fx-5800P
 

温故知新 - fx-9860GII
 

温故知新 - fx-CG10 / CG20 / CG50
 

温故知新 - fx-CP400
 

温故知新:番外編 - 関数電卓としての使い勝手









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温故知新 - CFX-9850GC PLUS

プログラム電卓 温故知新
 - 搭載プログラミング言語に注目して、プログラム電卓の変遷を考える -
<目次>


 
2019/06/23
追記修正 2020/01/04


過去から現在に至る性能や仕様の変化を調べ、プログラミング言語を中心にカシオ製プログラム電卓の系譜を明らかにする。

5. 新世代 Casio Basic 登場前夜 - 可読性と機能の向上(2)

今回は、2004年発売の CFX-9850GC PLUS を取り上げる。国内では 2005年1月に発売された。海外では2010年まで発売されていたが、国内では2006年には生産中止扱いになり、2007年にはカタログに掲載されなくなった。国内でのカタログ掲載期間は1年8ヶ月と短かった。
2005年1月発行のカシオ電卓総合カタログ
2006年9月発行のカシオ電卓総合カタログ

カシオ機に搭載されたプログラム言語で、Basicコマンドが追加されたものを欧米のプログラム電卓コミュニティでは Casio Basic と呼ばれている。私も当ブログ開設当初から Casio Basic という呼称を使っていた。

Casio BasicGetkeyLocate が追加されたのが CFX-9850G であった。その後、コマンドや関数が追加され、シリーズ最終の CFX-9850GC PLUS が登場した。この機種の後継として fx-9860G が発売され、これ以降の機種に搭載された言語を当ブログでは "次世代Casio Basic" と呼称している。

fx-9860G の1つ前の機種である CFX-9850GC PLUS はCFXシリーズの最終形であり、新世代Casio Basic 登場前夜と言える。



Casio CFX-9850GC PLUS

CFX-9850GC_PLUSCFX-9850GC_PLUS_Manual

2004年海外で発売、2005年1月 に国内発売開始、海外では2004年発売。
カタログ 取扱説明書 (Casioサイト) 取扱説明書 (e=Gadgetサイト) 

64KBのメモリ領域にシステムも含まれており、それ以外がプログラムやデータに使える。取扱説明書の表紙から分かるのは、fx-9750G PLUS(モノクロ液晶)など複数の機種とほぼ共通の仕様になっている。

取扱説明書で分からない Casio Basic の使いこなし が当ブログのメインテーマなので、実際に触ってみたいと思い、以前から中古品を探していた。



実際に入手した CFX-9850GC PLUS
幸運なことに、eBayで "未使用品 - 動作確認のため開封" というものを見つけたので入手した。EU域内保証書が添付されていた。
 CFX-9860GC_PLUS_1 CFX-9850GC_PLUS_2 
実際に傷や汚れが一切なく、新品状態であった。

CFXシリーズは、3色カラー液晶搭載のグラフ関数電卓で、デフォルトがブルーで、オレンジとグリーンを追加した3色が使える。実際の画面は、輝度も色もコントラストが低い。液晶を見る角度でコントラストや色合いが大きく変化するのも見づらさの原因だ。明るいところでは問題ないが、少し暗くなると見づらいと感じる。実際にしばらく使い続けると多少は慣れた。
CFX-9850GC_PLUS_Display 

fx-9860GIIシリーズのメニュー画面を比較する。
CFX-9850GC_PLUS_Display fx-9860GII_SD_Display 
液晶のバックグランドが黄色みが強いことも視認性の悪さの原因だと感じる。
また、この3色カラー液晶は応答性が悪い。

なお、CFX-9850GC PLUSの液晶画面のサイズは、fx-9860Gシリーズと比較すると小さいことが分かる。
Disp_Size_9859GC_9860GII 



関数電卓としての性能 [2019/06/25 追記]
キーの種類と配置は、後継機のfx-9860Gシリーズと同じになっている。但し、[SHIFT] と一緒に押して選ぶ裏の機能やファンクションメニューの機能は fx-9860G よりは少なく、当然ながら後継機で進化しているわけだ 。

分数表示と演算精度
235÷658 を計算すると 0.3571428571 と表示される。計算精度は内部15桁で、後継機種 fx-9860Gと同じ。
ここで、[F↔D] キーを押しても 5/14 にはならない。ここは、後継機種 fx-9860Gと異なる。

複素指数関数
eπi を計算してみる。計算できれば答えは -1 になる。
Complex 
fx-9850GC PLUS では複素指数関数の計算ができず、演算エラー(Ma ERROR) になる。但し、複素数の加減乗除はできる。
後継機種の fx-9860G以降のモデルでは複素指数関数の計算に対応している。



搭載言語 (Casio Basic) の概要 [2019/8/18 追記]

追加されているBasicコマンドによりプログラムの可読性と機能が向上し、さらに GetkeyLocate が追加されているのでプログラムの自由度が向上している。さらに CFX-9850G よりも関数が追加されている。

主なコマンド
 - 入力:?→, Getkey
 - 出力:" ", , Locate
 - カラーコマンド:Orange, Green (" "とSketchコマンドにのみ有効)
 - 無条件ジャンプ:Goto / Lbl
 - 条件ジャンプ: (fx-4000P、7000G と同じ仕様)
 - カウントジャンプ:Isz, Dsz
 - 条件分岐:If / Then / Else / IfEnd
 - For ループ:For / To / Step / Next
 - Do ループ:Do / LpWhile
 - While ループ:While / WhileEnd
 - 制御コマンド:Break, Return, Stop
 - 比較演算: =,, >, <,,
 - 論理演算: And, Or, Not
 - 配列:無し
 - リスト:List (配列としても使える)
 - 行列:Mat (配列としても使える)、
初期化コマンド Dim が追加されている
 - 各種関数

但し、以下の要因により可読性が損なわれている。
 - Then / Else 直後の改行:Syn ERROR になる
 - 行頭での改行 (空白行):Sys ERROR になる

 主なグラフィック コマンド
 - グラフ設定:CoordOn/CoordOff, GridOn/GridOff,
        AxesOn/AxesOff, LabelOn/LabelOff
 - 座標系設定:ViewWindow,
        Xmax/Xmin/Xscl/Xfct, XdotYmax/Ymin/Yscl/
Yfct  Xdotが追加されている
 - 消去コマンド:ClrGraph, Cls
 - Sketchコマンド:Plot, PlotOn/PlotOff, PlotChg, PxlOn, PxlOff, PxlTest
          Line, F-Line, Vertical, Horizontal, Circle
 - 各種グラフコマンド

但し、Plot, PlotOn, PlotOff, PlotChg, PxlOn, PxlOff, PxlChg, Circle の詳細仕様は、後継の fx-9860G 以降とは異なる。CFX-9850GC PLUS ではこれらのコマンドのパラメータに X, Y を使うと誤動作する。X, Y は内部動作のために予約されていると思われ、これらのコマンドを実行すると予期せぬ値が X, Y に自動的に入力されてしまう。つまり、X, Y をパラメータに使ってはいけない。

後継機種である fx-9860G 以降 fx-CG50 までのグラフ関数電卓では上記のコマンド実行後に、それぞれのコマンドの詳細仕様に従った正しい値が X と Y に自動的に入力される。つまり、その詳細仕様を理解していれば上記のコマンドのパラメータに X, Y を使える。



プログラムの作成と実行
キーコード取得プログラム GETKEY を入力してみた。コマンドを入力するためのキー (キープレス) は、fx-9860Gシリーズや最新の fx-CGシリーズと全く同じだ。言語機能の基本仕様はこの機種の頃から固まっていることが分かる

ファイル名:GETKEY
Locate 1,1,"=== GET KEYCODE ==="
Locate 1,3,"KEYCODE ="
Locate 10,5,"HIT ANY KEY"
Locate 13,7,"[AC]:QUIT"
While Getkey
WhileEnd
Do
Do:Getkey→K
LpWhile K=0
Locate 9,3,"=   "
(スペース6個)
Locate 11,3,K
LpWhile 1


GETKEY 
[DEL]キーを押したところ、キーコード44が表示されている。
fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズと同様に、テキスト表示の範囲は21桁7行だ。

[AC]キーを押してプログラムを終了させると、画面下8行目に Break と表示される。
ここで、[EXE] を押すとプログラムが再起動し、もう一度 [AC] を押すとProgram List に戻らず RUNモードに切り替わる。
この仕様は、fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズとは異なる。完成したプログラムを繰り返し使うには便利な仕様だ。一方、プログラムを試してから修正する場合は面倒だ。RUNモードに戻った後、[MENU] を押して PRGMモードに移行して編集するプログラムを探す必要がある。

Program List には、プログラム名 (ファイル名) は入力した順序で並んでおり、アルファベット順になっていない。プログラムの数が多いと、編集あるいは実行したいプログラムを探すのが楽ではない。

CFX-9850GC PLUSProgram List でプログラムを探す最善の方法は、サーチ(検索)機能だ。Program List 画面で [F6] (▷) - [F1] (SRC) と押せば Search For Program 画面が現れるので、そこで探しているプログラム名の頭のアルファベットを押せば良い。すると同じ頭文字で始まるプログラム名が全て表示される。この機能は必須だ。

ところで、取扱説明書には、以下の記述がある。
Program_Manual_Note
繰り返し計算や複雑な計算を便利に実行するのが、プログラム機能の主目的だと考えれば、プログラム終了後に Program List 画面に戻らず、RUMモードになる仕様は、理にかなっている。



プログラムの編集 [2019/07/01 修正]
プログラム編集画面は、極めて使いにくい。

パソコンで文章を書く時は、通常は挿入モードで利用しているはずで、上書きモードは必要な時のみ切り替えて使うと思う。fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズでも、プログラム編集画面は常に挿入モードになっていて、必要な時に [SHIFT]-[DELL](INS) と押して上書きモードに切り替えて使う。

ところが、CFX-9850GC PLUS は、通常が上書きモードになっていて、[SHIFT]-[DELL](INS) を押して挿入モードに切り替える必要がある。一旦挿入モードに切り替えると、改行を超えない範囲でカーソル移動する限りは挿入モードが維持されるが、カーソルが改行を超えると上書きモードに戻ってしまう。改行から改行までを1行として認識し、その行内なら挿入モードが維持されるのは、ラインエディタの仕様をそのままマルチラインのエディタに持ち込んでると考えるのが妥当であろう。そのためマルチラインエディタとして編集の利便性が得られず残念な仕様と言える。

昔のプログラム電卓やポケコンで、区切り文字を使ってプログラムをズラズラと1行に書く時の仕様を、そのまま引きずっているのではないかと想像している。



プログラムの転送 [2019/08/15 追記修正]

PClink_9850GC_Plus2 PCリンク
3pin-USBケーブル (SB-88) と プログラムリンク ソフトウェア (FA-124) を使えばPCリンクや電卓の画面取得が可能になる。
3pin-USBケーブル (SB-88)
現在は製造中止品だが、takumako様により互換ケーブルが有償頒布されているので私はこれを利用した。
プログラムリンク ソフトウェア (FA-124)
カシオのサイトから無償ダウンロードできる。

 電卓間転送
3pin-3pinケーブル (SB-62) を使えば、3pin端子のあるグラフ関数電卓とプログラムの転送ができる。
3pin-3pinケーブル (SB-62)
まだ販売されているが、takumako様により互換ケーブルが有償頒布されている。SB-62 は fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズの国内正規版には標準添付されている。

PCへ転送されるファイルは CAT ファイル (拡張子 cat) だ。CATファイルには複数プログラムを格納できる。

ところで、電卓本体右下にある3pinコネクタには、防塵防滴用と思われるゴム製の "栓" が刺さっている。ある程度使われた中古品だとこれが無くなっているケースが多いのではないかと思う。



fx-9860Gシリーズからのプログラムの移植
以前作ったプログラムの入った fx-9860Gシリーズと CFX-9850GC PLUS を 3pinケーブル (SB-62) で接続し、プログラムを CFX-9850GC PLUS に転送する。次にプログラムを走らせ、エラーが出たら [◀] か [▶] キーを押すとエラーが発生したコマンドにカーソルが表示されている。そこでカーソルのある部分を修正できるので、移植作業は比較的楽だ。当然エラーが発生している原因と対策を知っておく必要がある。具体的には、以下で紹介しているので、参照ください。

テキストベース・プログラム
モグラ叩きゲーム
以前作ったアクションゲーム - "Whack-a-Mole(もぐら叩き)" を転送して、必要な変更を行ってから遊んでみた。ついでにトップ画面のタイトルをオレンジにしてみた。デフォルトはブルーになっている。
ここで転送して修正したプログラムファイルは、WHACKAMOWAMINPI の3つだ。
プログラムのダウンロード - ダウンロードした Whackamo.cat には上記3つのプログラムを含む
Whack-a-Mole_9850GC 

CFX-9850GC PLUS の処理速度に対応するために、WHACKAMO の冒頭にある変数A の初期化を 2→A と変更しただけで、ロジックは変えていない。他は CFX-9850GC PLUS の搭載言語の制限に合わせて、エラーが出なくなるように修正を行うだけで移植は完了する。搭載言語のこの制限と修正方法については後述する。

実際に遊んでみると、液晶のハードウェアとしての応答性が悪い割にはゲームとして遊べて、それほど悪い感じはしない。表示が始まってところで反応できるから、表示が完了するまでのタイムラグが問題にならないのだろうと思う。

キーコード取得プログラム
以前作ったキーコード取得プログラムを転送し、エラーが出なくなるように必要な修正を行って CFX-9850GC PLUS / fx-9750G 専用に変更した。
プログラムのダウンロード - Keycode.cat
GetKey_1 GetKey_2 
左:起動直後の画面、右:キーコード取得プログラム、[EXIT] キーを押してみたところ。

CFX-9850GC PLUSfx-9860Gシリーズ / fx-CG シリーズは、全く同じキーを備えており、キーコードも同一になっている。従って、CFX-9850GC PLUS 特有の修正を行えば、ロジックや数値を変更せずに移植が可能となる。

さて、このプログラムや上のモグラ叩きゲームで、アルファベットの小文字が表示されていることにお気づきだろうか?

CFX-9850GC PLUS
 本体では、プログラム編集画面で小文字アルファベットを入力する方法が見つからない。ところが、小文字を使ったプログラムを fx-9860Gシリーズから転送したら小文字が表示されているのだ。

システムには既に小文字フォントが準備されていて、コードさえ入力されればプログラムで使えるようになっている。fx-5800P も同じ事情で、CcEditor / CcLinker を使えば 小文字アルファベットやその他フォントが使える。

温度換算プログラム
以前作った温度換算プログラムを転送し、エラーが出なくなるように必要な修正を行った。
ここで、転送・修正したプログラムファイルは、TEMPCONV と IN の2つだ。
プログラムのダウンロード - ダウンロードした TempConv.cat には TEMPCONV と IN が含まれる
TempConv 

プログラムの構造、ロジックは全く変更せず、プログラムが正常に動作する。

和暦-西暦換算・年齢推定プログラム - あの人の歳は今いくつ?
以前作った 和暦-西暦換算・年齢推定プログラムを転送して、エラーを解消する変更を実施した。長押し判定のカウンタの初期値Lを実機の処理速度に合わせて30に変更した (プログラム冒頭に 30→L と変更)。
転送・修正したプログラムファイルは、YEARCONV、YRC、YRD、INPI の4つだ。
プログラムのダウンロード - ダウンロードした YearConv.cat には YEARCONV, YRC, YRD, INPI の4つが含まれる。
YearConv 

ある程度複雑な構造でも、CFX-9850CG PLUS 搭載言語の制限や欠点を理解すれば、移植できることが分かった。



CFX-9850GC PLUS でのプログラミング

プログラミング上の制限と注意点 - fx-9860Gシリーズ / fx-CGシリーズとの比較

空行 (改行のみの行) はSyn ERROR になる
 ※対策空行を削除する
 対策を実施すると、ソースコードが非常に見づらくなる。特にブロック構造を意識した分かりやすいプログラミングには困った仕様だ。幸いコメントアウト ' が使えるので、空行の代わりに
'== 
などと書けば良いが、ソースレベルでブロック構造を分かりやすく見るには空行はとても便利だ。それが出来ないのは発展途上の欠点だと敢えて申し上げたい。これは、昔の1行プログラミングの時代の影響を引きすっていると感じられる。

Then / Else の直後を改行すると Syn ERROR になる
 ※対策Then / Else 直後の改行を削除する
 対策を実施すると、ソースコードが見づらくなる。上の空行禁止を組み合わさると、If ステートメントが非常に分かりにくくなる。ソースレベルで、ブロック構造を意識した見やすいコードを書けないにのは困った仕様だ。
これも、昔の1行プログラミングの影響をまだ引きずっている結果だと感じられる。

ループ (While / Do) の2重構造で、内側のループと If の入れ子構造が共存すると IfEnd のところで Syn ERROR になる
 ※対策:外側のWhile / DoLbl / Goto に置き換える。Break が有れば新たに Goto ジャンプに置き換える
 対策を施すと、スパゲティ化の第一歩となり、分かりやすいブロック構造を意識したプログラミングの大敵だ。個人的には最大の問題と感じている。
このエラーは、上記の 温度換算プログラムと和暦・西暦換算・年齢推定プログラムをfx-9860GII から転送して発見した。
While / DoIf の構造制御のスタック管理に失敗しているバグと考えている。昔は Goto / Lbl しか無かったところに構造制御ステートメントを追加している過渡期に潜り込んだバグがまだ解消していないのだろう。
取扱説明書の第22章ライブラリー編に掲載されているサンプルプログラムでは、構造制御に While / Do を使ったものが無く、全て Lbl / Goto が使われていることから、この時点で While / Do の機能が不完全だったと考えている。 

出力 "" で内部カーソルが改行されない
 ※対策"" で内部カーソルの改行機能を当てにせず Locate で表示位置を明示的に指定する
"" はNOP (何もしない) 処理になっているかも知れない。
"" で内部カーソル行を制御しているプログラム (fx-5800Pfx-9860G 以降のグラフ関数電卓で正常動作しているもの) を転送した場合、CFX-9850GC PLUS では画面配置が崩れる。

行末に区切り文字 : があると Syn ERROR になる
 ※対策:行末の区切り文字 : を削除する
 対策を実施しても大きな問題はない。
区切り文字は改行と同じ内部実装になっていれば、空行でエラーになるのと同じ原因なのだろう。

カラーコマンドは " " 出力には有効だが、Locate 出力には無効 [2019/05/25 追記]
 ※対策:有効な対策はない。"" で内部カーソルが改行されないので Locate を " "出力に変更できないことが多いためだ。
 カラーコマンドには、Orange と Green がある。Orange "String" と書けば String がオレンジ色で表示される。
一方、Locate コマンドで出力する場合は、カラーコマンドを追加すると Syn ERRORになる。 

出力文字列に : を含む行を ' でコメントアウトすると Syn ERRORになる
 ※対策:機切り文字 : の直後に ' を付加する
この問題は、fx-9860Gシリーズや fx-CGシリーズにも残っており、カシオは操作マニュアルを修正して対応している。
詳しくは 楽屋裏 - Casio Basic コメントアウト '  のバグ を参照

出力文字列に : を含んでも Syn ERRORにならない
これは、後継機種の fx-9860Gの OS2.1 かそれ以前のバージョンではエラーになっており、OS2.04 以降で修正されており、この修正は fx-9860GIIfx-CG20、そして最新の fx-CG50 まで維持されている。それなのに fx-9860G よりも古い CFX-9850GC PLUS で同じエラーが発生するかと思えば、エラーにならないのは、面白い。
改行のみの空行や区切り文字が行末にあることを許すように変更した際に、新たにバグが入り込んだと推測される。細かいようではあるが、このような開発の苦労や経緯が透けてくるのは面白い。 

出力命令 " " では1文字ごとに出力する
"Strings" を実行するとタイプライターのように1左から1文字づつ出力される。一方 Locate 1,1,"Strings" を実行すると、文字列が一度に出力される。

fx-9860Gシリーズ以降の機種らの移植では、実装されていない関数やコマンドで Syn ERROR
 ※対策:使えるコマンドを使って別表現に変更する (当たり前ですね)
今回移植を試みたプログラムには一例として、RanInt#( があったので、それぞれ以下のように別表現にした。 
- RanInt#(1,9)Int(90Ran#÷10)+1 に変更
- RanInt#(1,3)Int(30Ran#÷10)+1 に変更
- RanInt#(0,9)Int(10Ran#) に変更

Do / While / For ループからの脱出に Dsz / Isz を使うと Syn ERROR になる [2019/06/30 追記]
 ※対策:ループを Lbl / Goto に置き換えるか、ループ脱出に Break を使う
この現象は、fx-5800Pfx-9860G 以降のグラフ関数電卓でも存在することが確認されている。
⇒ 楽屋裏 - Dsz にとるループ脱出 参照
カシオとのやりとりの結果、ループの後 (必ずしも直後でなくても良い) に Goto 0:Lbl 0 と記述することでこのエラーを回避できることが分かっている (詳細は上記記事参照)。ところが、CFX-9850GC PLUS では、この対処方法が効かない。



処理速度の比較

四則演算および関数計算

加算プログラム
加算 

プログラムを起動し、N に 1000 を入力して実行時間を計る。

CFX-9850GC PLUS のプログラム
fx7000G_source_adding_up_Isz2 AddTest_For 
繰り返しに Goto / Lbl を使うケース(左)と For を使うケース(右)の2通りで処理速度を調べる。


数値積分プログラム
関数 

この通史積分は、とね日記 - 席初の手帳型プログラム関数電卓 CASIO FX-502P (1979), FX602P (1981) で取り上げられているものをそのまま使わせていただく。

プログラム起動し、分割数として 1000 を入力して、時効時間を計る。

CFX-9850GC PLUS のプログラム
FuncTest_Goto_9850 FuncTest_For_985 
クリア絵師に Goto / Lbl を使うケース(左)と For を使うケース(右)の2通りで処理速度を調べる。

以前調べた結果と併せて、上記の計算速度のを比較結果を示す [2019/07/31 修正]
加算プログラム数値積分プログラム
機種実行時間比較実行時間 (秒)比較
FX-502P123.1 秒---1261.8 秒---
FX-602P111.2 秒1.1 倍716.5 秒1.8 倍
FX-603P37.8 秒3.3 倍166.2 秒7.6 倍
fx-4000P61.7 秒2.0 倍349.1秒3.6 倍
fx-4500P195.0 秒0.6 倍798.1 秒1.6 倍
fx-4800PA=A+126.3 秒4.7 倍114.3 秒11.0 倍
Isz A21.2. 秒5.8 倍109.4 秒11.5 秒 
fx-7000GA=A+120.7 秒5.9 倍146.1 秒8.6 倍
Isz A19.3 秒6.4 倍143.2 秒8.8 倍
CFX-9850GGoto20.9 秒5.9 倍98.3 秒12.8  倍
For9.2 秒13.4 倍84.3 秒15.0 倍
CFX-9850GC PLUS
Goto22.0 秒5.6 倍100 秒12.6 倍
For9.2 秒13.4 倍85.4秒14.8 倍
記念すべき FX-502P を基準に、速度が何倍になっているかも併せて示している。

Basicコマンドとして追加された For 文は効率化、高速化している。Basicコマンドは可読性向上だけでは無いことが分かる。併せて関数処理も高速化していることが分かる。但し、CFXシリーズ初号機である CFX-9850G よりは少し遅くなっている。インタープリター言語なので、コマンドが追加されたことが原因だと思われる。


グラフィックス描画
▶ ドット描画プログラム

fx-7000G のグラフィック画面が 95 x 63 ドットなので、それに合わせて CFX-9850GC PLUS でも 95 x 63 ドットを塗りつぶして処理速度を比較する。

fx-7000G のプログラム
fx7000G_Dot DOT_fx7000G  

CFX-9850GC PLUS のプログラム
Dot_Plot Dot_Pxl fx9850GC_Plus_Dot 
Plot を使うケース(左)と PxlOn を使うケースの2通りで処理速度を調べる。

PlotPxlOn
fx-7000G213 秒
CFX-9850G926.5 秒0.23 倍496.0 秒0.43 倍
CFX-9850GC PLUS901.1 秒0.24 倍929.1 秒0.23 倍

CFX-9850G と全く同じコードであるにも関わらず、CFX-9850GC PLUS では遅くなっている。
PxlOn によるドット描画は、CFX-9850G の2倍の時間がかかった。
fx-7000G と比べると、処理が4倍以上遅くなった。


画面更新プログラム
上で、画面へのデータ転送が処理速度のボトルネックになることが分かったので、頻繁に画面更新するプログラムを実行して、その処理速度を調べて比較することにする。

ところで Getkey コマンドの追加によりテンキーと[EXE]キーだけでなく、[AC]を除く全てのキー入力が検知可能になり、Locate コマンドの追加により任意の位置への出力が可能になったので、プログラムの自由度が大きく向上し、画面がスクロールしないプログラムを書けるようになった。画面がスクロールしないプログラムでは、画面更新速度は重要な評価ポイントになる。

出力画面は、テキスト画面とグラフィックス画面 (グラフ画面) の2つがあり、これらは同時に表示できない。そこでテキスト画面の高速更新プログラムとグラフィックス画面の高速更新プログラムを作成して評価に利用することにする。

CFX-9850GC PLUS で調べる。
以下は CFX-9850G の結果で、CFX-9850GC PLUS のデータを後日追加する。

グラフィックス画面更新プログラム - モンテカルロ法にょる円周率計算
fx9850GCplus_Montekar 
プログラムのダウンロード - Montecar.cat を電卓に転送する
プログラムの詳細はこちら
ランダムに500回点を打って出力するまでの時間を調べる。

テキスト画面更新プログラム - ピタゴラス数の計算
CFX9860GCplus_Pytha 
プログラムのダウンロード - Pytha.cat を電卓に転送する
プログラムの詳細はこちら
ピタゴラス数500個を計算して結果を出力するまでの時間を調べる。

[2020/01/04 追記]
GetkeyLocate が初めて搭載された CFX-9850GCFX-9850GC PLUS の結果を比較した。
MONTECARPYTHA
CFX-9850G294.3 秒---165.6 秒---
CFX-9850GC PLUS295.2 秒0.99 倍267.7 秒0.62 倍

CFX-9850G に比べてグラフィック画面出力 (MONTECAR) と テキスト画面出力 (PYTHA) ともに遅くなった。
特に、テキスト画面への繰り返し出力は60%程度に速度低下している。関数やコマンドが追加されたので、当然ながら処理が遅くなったと言える。速度向上には、CPUやOSの大きな改訂が必要であり、次の機種である fx-0860G でそれが実現されている。


プログラム電卓の系譜 [2019/08/15 追記修正]

CFXシリーズの最終機種である CFX-9850GC PLUS は、CFX-シリーズの初号機 CFX-9850G と同じ仕様の言語を搭載しているが、処理速度が遅くなっている。CFX-9850G よりも関数や機能が増強されているので多少処理が遅くなるだろうと思う。しかしグラフィックスのドット描画については、特に PxlOn の処理が倍程度遅くなっているのは意外であった、

さて、CFX-9850GC PLUS に搭載されたプログラミング言語は、CFX-9850G と同様に Baiscコマンドとして IfFor / While / Do / Getkey / Locate などが追加されているが、編集画面で考えながらコーディングするのは難しいと思う。

後継機種である fx-9860G では、搭載言語と編集画面の大幅な修正が行われた。この改良は、fx-9860G と同年に発売された fx-5800P にも反映されている。

編集画面については、FX-502P / FX-602P / FX-603P では、デフォルトで挿入モードになっており、必要に応じて 上書きモードに切り替える仕様になっている。ところが、その後の fx-3650Pfx-4000P シリーズ、fx-7000G シリーズ そして CFXシリーズの最終モデル CFX-9850GC PLUS に至るまで、デフォルトで上書きモードになっていた。

当時、欧米市場での競合であった TI の電卓でも84シリーズのような古くからある機種では上書きモードが主流であった (sentaro様による情報、コメント欄参照)。

ところが、2005年に発売された機種、fx-71Ffx-5800Pfx-9860G では、一斉に挿入モードに切り替わっている。プログラミングのできない関数電卓においても、fx-991MS まではデフォルトで上書きモードで、2005年発売の次機種 fx-991ES から挿入モードに切り替わっている (2005年1月の電卓総合カタログ参照。

[2019/07/01 追記]
コメント欄に情報をお寄せいただいたsentaro様によれば、SHARP製の関数電卓も以前は上書きモードだったが、2004年以降のモデルは挿入モードに変わっているとのこと。Casioとほぼ同時期に変更されているようだ。

sentaro様の考察によれば(コメント欄参照)、欧米、特に北米での学校販売ビジネスでしのぎを削っていた TI 機と使い勝手の異なる挿入モード機を一斉に投入するには、ビジネス上のリスクを伴う大きな判断があったに違いないとのことだ。私もそれに賛同する。その上で、一斉に挿入モードに切り替えたのは、グラフ関数電卓やプログラム関数電卓の将来の目標 / ビジョンがあったのではないかと私は想像している。それは計算補助のマクロ機能を超えて、より柔軟な一般的なプログラミングが可能な言語仕様を目指すことであった、と想像している。

LocateGetley コマンドの存在は、スクロールしないプログラムを可能にするが、これらのコマンドは CFXシリーズの初代 CFX-9860G に初めて追加された。CFXシリーズは、プログラム関数電卓、ポケコン、グラフ関数電卓それぞれで個別に開発が進んでいた搭載言語が、ようやく1つの方向性に収束し、Locate / Getkey コマンドを追加することで柔軟なプログラミングが可能になり、大きく進化した。3色限定とは言えカラー表示を可能にしたのも CFXシリーズの特徴であり、各種コマンドや関数を増強した最終機種 CFX-9850GC PLUS は、カシオ機搭載のプログラミング言語の歴史の重要な転換点を示しており、次世代Casio  Basic 登場前夜の記念すべきモデルと言える。

Casio Baisc は fx-9860G シリーズでさらに進化してゆく。



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keywords: プログラム関数電卓、プログラミング、Casio Basic、CFX-9850GC PLUS

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なお管理人はカシオ計算機の関係者ではなく、Casio Basicが面白いと感じる1ユーザーです。


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