fx-7400GIII の概要

 
初版: 2020/10/27
追記修正: 2020/10/28
追記修正:2021/02/11


Casio fx-7400GIII POWER GRAPHIC

fx-7400GIII は、最近のグラフ関数電悪、例えば fx-9750GIIIfx-9860GIII と色使いが異なるだけで同じデザイン、同じ寸法、ほぼ同じ重量なので、興味を持っていました。そして2020年10月に入ってから、ヨーロッパで fx-7400GIII が発売されているのに気がついたので入手しました。


fx7400g3  fx-9750GIII_large   fx9860GIII
   fx-7400GIII      fx-9750GIII       fx-9860GIII


2020年10月18日現在、Amazonドイツ での fx-7400GIII の価格は €57.10、一方 Amazon フランス での fx-7400GIII の価格は €65.08 となっています。色々と調べて見るとドイツから各国へ出荷されているのて、ドイツが一番安くなっているようです。日本への送料がそれぞれ掛かります。一方セカイモンで調べると本体価格は¥8,609 でした。€1 = 125円とすると、Amazon ドイツは¥7,138 になる。但し送料は別途必要でセカイモンは¥4,497 でした (ヨーロッパはアメリカに比べてかなり高い)。結局総額が一番安いセカイモンで購入、合計¥13,106 の買い物でした。

[2021/02/11 追記修正]
現地価格は、fx-7400GIII は Amazonドイツで €57.10 であるのに対して、遙かに高機能な fx-9860GIII は 同じ Amazonドイツで €98.58 (10/27調べ) なので、機能と価格のバランスが取れているように見えます。しかし海を渡ってアメリカの Amazon USA では fx-9860GIII とほぼ同じ機能の fx-9750GIII が $40.93 (10/27 調べ) と格安になっており、おそらく北米市場における戦略的価格設定によるものと思われます。

fx-9759GIII と比較すると、fx-7400GIII のコスパが非常に悪くなっています。
===== 追記修正ここまで =====


ヨーロッパ向けグラフ関数電卓の紹介ページ
 - CASIO EUROPE のグラフ関数電卓のページ
 - CASIO WORLDWIDW EDUCATION WEBSITE のヨーロッパ向けグラフ関数電卓のページ

北米 (アメリカとカナダ) 向けグラフ関数電卓の紹介ページ
 - CASIO USA のグラフ関数電卓のページ
 - CASIO WORLDWIDE EDUCATION WEBSITE の北米向けグラフ関数電卓のページ

 CASIO INTERNATIONAL のグラフ関数電卓のページ



はじめに

fx-7400GIII は自然数学表示機能は搭載されておらず、関数電卓としてみれば、古い世代のモデルと言えます。このモデルは、 fx-7400GII の機能はそのままでデザインだけ変更したようです。 

Casio Basic の機能に着目すると、青色で示したモデルはほぼ同じ機能を有していますが、赤色で示した fx-7400GIII の Casio Basic は機能が制限されています。

 - 2006年発売 fx-5800P 
 - 2007年発売 fx-9860G (OS Ver 2 以降)、生産中止
 - 2009年発売 fx-9860GII (国内販売中止)
 - 2011年発売 fx-CG10 PRIZM (北米のみ)
 - 2012年発売 fx-CG20 (fx-CG10 PRIZM の約1年後)
 - 2013年発売 fx-FD10 Pro
 - 2017年発売 fx-CG50 (欧米先行、2017/10/20国内発売)
 - 2020年発売 fx-9860GIII (ヨーロッパ限定発売)
 - 2020年発売 fx-9750GIII (北米限定発売)
 - 2020年発売 fx-7400GIII (ヨーロッパ限定発売)

fx-9860GIIIと fx-9860GIII / fx-9860GII との比較
 fx-7400GIIIfx-9750GIIIfx-9860GIII
 電池 単四 x 4 単四 x 4 単四 x 4
 電池寿命 (メーカー測定基準) 230 時間 230 時間 230 時間
 サイズ (mm) 18.7 x 83.5 x 175.5 18.7 x 83.5 x 175.5 18.7 x 83.5 x 175.5
 重さ (g) 190 190 190
 液晶ディスプレイ
 ・Casio Basic グラフィック
 ・Casio Basic テキスト
 ・バックライト
 64 x 128 pixel
・63 x 127 dot
・7 x 21 文字
なし
 64 x 128 pixel
・63 x 127 dot
・7 x 21 文字
なし
 64 x 128 pixel
・63 x 127 dot
・7 x 21 文字
なし
 仮数 + 指数 10桁 + 2桁 10桁 + 2桁 10桁 + 2桁
 内部演算桁数 15桁 15桁 15桁
 プログラムメモリ容量 最大 ~20 KB最大 ~62 KB 最大 ~62 KB
 メインメモリ (利用可能) ~20 KB ROM ~62 KB ROM ~62 KB ROM
 ストレージメモリ  なし ~3 MB SDRAM ~3 MB SDRAM
 プログラムファイル名 最大8文字 最大8文字 最大8文字
 OSバージョン 3.20 3.21 / 最新 3.40  3.21 / 最新 3.40
 Casio Basic あり (機能限定) あり あり
 Pythonモード なし あり あり

fx-7400GIII は、機能限定版のグラフ関数電卓です。メニュー画面を fx-9860GIII と比べると一目瞭然です。

7400GIII_9860GIII

fx-7400GIII のメニュー画面のアイコン数は9個、fx-9860GIII や fx-9750GIII の18個に比べて半分で、fx-9860G/GII や fx-CG10/20/50 と比べても極めて少なくなっています。この fx-7400GIII のメニュー画面にみられる機能の少なさは、そのまま Casio Basic の機能制限に繋がっています。

fx-7400GII 搭載の Casio Basic は、fx-9860G/GII/ GIII, fx-9750GIII, fx-CG20/50 搭載の 新世代Casio Basic のサブセット版です。上のリストで青色で示したモデルで動作するプログラムが全て fx-7400GIII で動作する保証がなく、動作しない場合はエラーになります。さらに fx-7400GIII にはストレージメモリが無いので、アドインプログラムを使えず、メインメモリも他のグラフ関数電卓の 1/3 しかありません。

Casio Basic の動作への影響が大きいものを列挙します;
 行列機能がない
  ⇒ 行列を利用するプログラムは、アクセス速度が遅いリストに置き換える必要がある。
    これまで作りためてきた Casio Basic プログラムは、リストよりもアクセスが速い
    行列を使ったものが多く、そのままでは fx-7400GIII で動作しません。
    fx-7400GIII で動作させるには行列をリストに置き換える必要があります。
 ストレージメモリがないので、アドインが使えない
  ⇒ C.Basic や オーバークロックによるチューンアップツールが使えない
 USBポートがない (3Pinケーブル端子のみ)
  ⇒  PCリンク機能が無いので、プログラムをPCに保存できません。
    またPC上で編集したプログラムを電卓に転送できません。
グラフ機能も限定的 
  ⇒ グラフ機能のコマンドが限定されているので、以前作ったプログラムの一部は動きません。

 メインメモリが 1/3 の 20KB しかない。
  ⇒ PCリンクでプログラムをPCに保存できないのに、電卓に保存できるプログラム容量が 1/3 です。

fx-7400GIII は Casio Basic マシンとして考えると、プログラム実行速度が速い点を除き、他のグラフ関数電卓より優れた点はありません。

一方、fx-5800P と比べてみると、fx-7400GIII は以下の点で優れていると思います。
▶ テキスト表示が 21桁 × 8行 と fx-5800P の16桁 × 4行 よりも広い
グラフィックス出力が使える
Casio Basic での演算速度が処理内容に応じて5~10倍速い
 これら3項目を除けば、fx-5800P の方が総合的には使い勝手が良いと思います。

fx-7400GIII を総括すると、
fx-7400GIII の利点: 演算速度がグラフ関数電卓の他のモデルよりも速い
fx-7400GIII の欠点: 機能面でグラフ関数電卓の他のモデルより劣る。

fx-7400GIII は、関数電卓としてもプログラム電卓としても、わざわざ購入する価値はないと思います。そして、モノクロ液晶でよければ、より高機能の fx-9750GIII が遙かに安価に入手できます。
 

 
目 次

1. 到着したパッケージ

2. ソフトウェアダウンロード

3. 外 観

4. データ転送
 4.1 PCとのリンク
 4.2 電卓同士のデータ転送

5. Casio Bsic の処理速度
 5.1 fx-9860G/GII シリーズの Casio Basic プログラム (g1mファイル) の移植
 5.2 計算主体のプログラム
 5,3 動きのあるテキスト出力プログラム
 5.4 動きのあるグラフィック出力プログラム

 



到着したパッケージ

  fx7400GIII_Package fx7400GIII_docs

 パッケージを開けると、fx-7400GIII 本体、単四電池4個、クイックマニュアル (英語/ドイツ語/スウェーデン語)、保証書、廃棄方法の注意書き (英語/ドイツ語) が入っています。

 
<目次に戻る>

ソフトウェアダウンロード [2020/11/28 追記]

OSアップデート
fx-7400GIII 本体で、[MENU] - [System] - [F4] (Version) で確認すると、OSバージョンは 03.20.0710 となっています。
今のところ、これが最新です。

取扱説明書
英語版は、Casio Europe の fx-7400GIII の製品ページから Support - Manuals からからダウンロードできます。
- fx-7400GIII のマニュアル

アドインプログラム
fx-7400GIII は、アドインプログラムが使えません。

サポートソフトウェア
サポートしている PCリンクソフトウェア や 液晶画面の画像を取得するサポートソフトウェアはありません。
<目次に戻る>

外 観

fx7400g3   fx-9750GIII_large   fx9860GIII
  fx-7400GIII      fx-9750GIII     fx-9860GIII    

fx-9750GIII (写真中央) と fx-9860GIII (写真右) は、色以外は全く同じデザインです。

fx7400GIII_backside 
  
fx-7400GIII のケース裏側のデザインは、凝った美しい凹凸模様が入っていて、fx-9860GIII と全く同じになっています。ハードカバーも CASIO の刻印が入っているだけのシンプルなもので、fx-9860GIII や fx-9750GIII WE (ホワイトモデル) と同一のものです。
 
<目次に戻る>
データ転送
 
PCとのリンク


PCとのリンクはできません。
3Pinコネクタの接続ケーブル (SB-62) を使って、他のグラフ関数電卓 (fx-9750GIII, fx-9860G/GII/GIII, fx-CG20/50 など) に一旦転送してから、これらの電卓のPCリンク機能を使ってプログラムをPCに保存することは可能です。
 
<目次に戻る>
電卓同士のデータ転送

3Pinコネクタの接続ケーブル (SB-62) を使って2つの電卓を繋ぎ、両方とも LINKメニューに入り、接続する両方の電卓で一方を TRANSMIT (送信)、他方をRECV (受信) に設定すれば、データのやりとりができます。

プログラムを含むデータを fx-7400GIII とやりとりができるのは fx-7400GIII 同士だけでなく、CFX-9850Gシリーズ、fx-9860Gシリーズ、fx-9860GIIシリーズ、fx-9860GIIIfx-9750GIII、そして fx-CGリーズであり、メニューに LINK 項目があり、3Pin コネクタが付いている機種です。但し fx-5800P との間でのデータ転送はできません。

詳しくは、Software Manual に書かれているので確認できますが、使ってみれば分かると思います。

fx-CGシリーズ から fx-7400GIII へ転送すると、プログラムファイルは拡張子が g3m から g1m へ自動変換され、カラーや細線設定、そして fx-7400GII で未対応のコマンドは @ に自動的に置き換えられます。

 
<目次に戻る>

Casio Basic の処理速度

モノクロ液晶モデルである fx-9860G シリーズ用に作成したプログラムのうち、行列を使っていないプログラムや 高度なグラフ描画コマンドを使っていないプログラムは、そのまま fx-7400GIII で動作します。そこで、いくつかのプログラムの処理速度を fx-5800Pfx-9750GIIIfx-9860GIIfx-CG50 と比較してみます。fx-7400GIII のプログラムファイルの拡張子は g1m で、fx-9860G 以降のモノクロ液晶を搭載したグラフ関数電卓のプログラムと同じファイル形式で動作します。

実際のプログラム動作速度を調べて見ると、fx-7400GIII の Casio Basic 処理速度は fx-9860GII や fx-CG50 よりも速いという結果となりました。インタープリター動作する Casio Basic では実装されているコマンド数が少ないことが fx-7400GIII の高速性の原因だと思われます。

fx-9860G/GII シリーズ の Casio Basic プログラム (g1mファイル) の移植 [2020/11/28]
fx-7400GIII には行列機能がなく Casio Basic でも行列操作のコマンドがありません。一方 リスト機能があるので、プログラムで使っている行列が、1行N列、あるいは N行1列 の行列ならば (つまり、配列の代わりに使っている場合は)、それをリストに置き換えると、 fx-7400GIII で動作します。

行列の初期化をリストの初期化に置き換える
(例)
  {1,79}→Dim Mat Z79→Dim List 1 に書き換える

行列の記述をリストの記述に置き換える
(例)
  1→Mat Z[1,K]1→List 1[K] に書き換える


計算主体のプログラム

PRIME - 素因数分解
これまで作ってきた fx-9860GII / fx-9860GIII / fx-CG20 / fx-CG50 用プログラムでは行列を使っている。そこで、行列が使えない fx-7400GIII 用に行列をリストに置き換えた fx-7400GIII 用プログラム (g1m ファイル) を作った、

ダウンロード
- fx-5800P用 pdf ファイル
- fx-9860GIII / fx-9860GII 用 g1m ファイル
- fx-CG50 / fx-CG20用 g3m ファイル
- fx-7400GIII用 g1m ファイル

※ 使い方やプログラムソースについては、fx-9860GII への移植 - 素因数分解 参照

プログラムを起動すると...

Prime_1  
数値を入力して [EXE] で素因数分解を始め、[EXE] を押しながら結果を1行ずつ表示させる。
このプログラムの実行中は、ビジーマーカー以外に表示の更新が無いので、計算速度の比較に向いています。今回は、以下の10桁の数の素因数分解の計算時間を比較します。

計算する数値: 7,849,516,203 = 32 x 9811 x 88897

fx-CG50 の画面は以下のようになります。

   Prime_2 Prime_3 

機種別処理時間の比較
fx-CG50fx-7400GIIIfx-9750GIIIfx-9860GIIfx-5800P
46秒58秒61秒89秒444秒
11.261.351.939.65
0.7911.051.537.66
0.750.9511.467.28
0.520.650.6818.73

fx-7400GIII の計算処理は、fx-9750GIII より 5% 程度速くなっています。
  
<目次に戻る>


動きのあるテキスト出力プログラム

PYTHA - ピタゴラス数探索

ダウンロード

- fx-5800P用 pdf ファイル
- fx-9860GII / fx-9750GIII 用 g1m ファイル
- fx-CG20 / fx-CG50 用 g3m ファイル

※ 使い方やプログラムソースについては、fx-9860GII への移植 - ピタゴラス数 を参照。

このプログラムを起動すると1つめのピタゴラス数を表示して一旦停止します 。
 [EXE] キーを長押しすると、連続的に次々とピタゴラス数が表示し続けます。
そして、500個のピタゴラス数を探索して表示するまでの時間を計って比較します。
    Pytha_1

このピタゴラス数探索プログラムは、テキスト表示が常に更新し続けます。
500個のピタゴラス数が見つかるまでの時間を、機種別に比較してみました。

機種別処理時間の比較
fx-CG50
fx-7400GIII
fx-9750GIII (OS3.21)
fx-9860GII
fx-5800P
87秒
53.2秒56.0秒93秒
441秒
10.610.661.075.07
1.6411.051.758.30
1.520.9511.637.71
0.940.570.6214.74
0.200.120.130.211

fx-7400GIII は、fx-9750GIII より2%ほど速いことが分かりました。
 
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動きのあるグラフィック出力プログラム

MONTECAR - モンテカルロ法による円周率計算

ダウンロード
- fx-9860GII / fx-9750GIII 用 g1m ファイル
- fx-CG20 / fx-CG50 用 g3m ファイル

※ 使い方やプログラムソースについては、fx-9860GII グラフィックス - モンテカルロ法 を参照。この記事では、実際の画面の変化を動画で見られます。

 GIII_Monteca_1 GIII_Monteca_2

[EXE]
キーを押すと、ランダムに点を打ち始め、それが円内にある割合から円周率を求める、モンテカルロシミュレーションプログラムです。このプログラムは、グラフィックスの Textコマンドと Plotコマンドによる表示更新を頻繁に行うものです。そこで、Text と Plot を500回繰り返す時間を、機種別に調べて比較してみました。
機種別処理時間の比較 
fx-CG50
fx-7400GIII
fx-9750GIII (OS3.21)
fx-9860GII
174秒84.5秒
87.3秒
135秒
10.490.500.78
2.0611.031.60
2.000.9711.54
1.200.630.651

fx-7400GIII は、fx-9750GIII より3%程度速い結果です。
 
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keywords: CasioBasicプログラム電卓、fx-7400GIII

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やす (Krtyski)

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プログラム電卓は、プログラムを作って、使ってナンボ!

プログラム電卓を実際に使って気づいたこと、自作プログラム、電卓での Casio Basic, C.Basic そして Casio Python プログラミングについて書いています。

なお管理人はカシオ計算機の関係者ではありません。いつでもどこでもプログラミングができるプログラム電卓が好きな1ユーザーです。


写真: 「4駆で泥んこ遊び@オックスフォード郊外」

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